スコット・モリソン首相は、オーストラリアでアストラゼネカ・ワクチンが不足していることについて、欧州連合(EU)を批判したとする報道を否定する一方で、未だ受け取っていない310万人分のワクチンが届くことを期待すると主張しました。
6日火曜日、モリソン首相は契約済みのワクチンがオーストラリアへの出荷を阻止されたことを示唆するような発言をしました。
これに対してEUは、「阻止はしていない」と反論。
モリソン首相は7日の会見で記者団に対し、オーストラリアのワクチンプログラムは契約したワクチンに頼っていると述べただけであるとし、一連の報道を否定。
「私は昨日、EUの行動について一切コメントしていないことを強調したい」と述べました。
「私が何らかの形でEUを批判したという指摘は、まったくの誤りです」
この論争はEU全域でアストラゼネカ・ワクチンが大幅に不足していること、そしてオーストラリアのワクチンキャンペーンが遅れていることを浮き彫りにしました。
一方でモリソン首相は、ワクチンの展開が目標を達成できていないとする非難に対して、政府の対応を擁護。

Prime Minister Scott Morrison has denied blaming the EU over vaccine supply issues. Source: AAP
「これは簡単な計算です。380万人分のうち310万人分がオーストラリアに届かなかったのです」
「これはワクチン接種プログラムの初期の展開に非常に大きな影響を与えたのは言うまでもありません」
欧州委員会の報道官は、受け取った約500件の輸出要請のうち拒否されたのはこれまでのところ、大々的に報道された3月にイタリアからオーストラリアへ出荷予定であった25万回分のみであると述べ、「オーストラリアやその他の国へのワクチン輸出を阻止するような新たな決定は確認されていない」と述べました。
モリソン首相は、アストラゼネカ社に対して100万回分のワクチンを追加要請する手紙を書く予定であることを明かしました。
「最初の100万回分は、パプアニューギニアの支援のために使用されることを約束します」
パプアニューギニアの支援のために、国内の供給量を減らす覚悟はあるのかと問われると、「当然、(アストラゼネカ社からの)100万回分の追加を望んでいる」とする一方で、それが実現しないのであれば「世界中の多くのパートナーと協力し、どのように対処できるかを検討する」と述べました。
「またこれらがオーストラリア国内の供給量にどう影響するかも検討します」
モリソン首相は、ここ数週間でコロナウイルスの患者が急増し、7000人以上の感染者を記録しているパプアニューギニアの状況を「非常に深刻なもの」であると述べています。
首相は、労働党が主張する大規模な予防接種ハブ(会場)の要求を拒否し、弱者に焦点を当てたワクチンプログラムの初期段階では、GPが現在のところ最良の選択肢であると述べています。
また、薬局での接種については、予定より早く導入することを望んでいないと明かしました。
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モリソン首相は、ワクチンプログラムに対する批判は、展開が進むにつれて「状況が変化する」ことを認識していないと主張。
「このプロセスには多くの変数があります。サプライチェーンが混乱したり、新たな医学的アドバイスがあればそれに対処しなければなりません」
「私たちが一丸となってこの問題に取り組んでいることを約束します」
EUでは、ワクチンの製造が需要に追いついておらず、アストラゼネカ・ワクチンが不足しています。アストラゼネカ社は、6月末までに3億人分のワクチンを提供すると約束していましたが、1億人分しか達成できない見込みです。
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