Key Points
- 相対的エネルギー不足(LEA)とは最適な健康状態を維持するために必要なすべての生理機能を支えるだけのエネルギーが体にない状態のこと
- 特にユースアスリートについてはエネルギーがどのように必要であるかについての認識や理解が不足している
- 持続的なLEAは、さまざまな症状、ときには重篤な症状を引き起こす可能性もあると、スポーツ栄養士、ホリー・エドスタイン氏は言う
この記事は、SBSの健康とウェルビーイングの取り組みの一環です。このポータルサイトでは、デジタルストーリー、ポッドキャスト、ビデオを英語と多言語でご覧いただけます。
疲労感、筋肉痛、集中力の欠如、モチベーションの低下などは、多くの若いアスリートにとって時折見られる症状かもしれません。
しかし、これらの症状が長期間続くようであれば、食事摂取量を見直す時期かもしれません。
LEA(Low Energy Availability・相対的エネルギー不足)とは、日常生活やトレーニングに必要な栄養が不足している状態のことを指します。
この状態はプロスポーツ選手に限られることではなく、若年アスリートに関しては、もっと評価されるべき分野であると、スポーツ栄養士のホリー・エドスタインさんは言います。
いつ、どれだけのエネルギーが必要なのかについての認識や理解が不足していて、あまり評価されていない分野です。Holly Edstein
エドスタインさんは、ニューサウスウェールズ・インスティテュート・オブ・スポーツとシドニー・ルースターズNRLWチームのスポーツ栄養士であり、2021年の東京オリンピックではオーストラリア代表チームに同行しています。

Ms Edstein is a sport dietitian for NSW institute of sport and Roosters NRLW Credit: Holly Edstein
「複数のトレーニングセッションに学校、そしてその他のコミットメントとバランスを取りながら、適切なタイミングでエネルギーを摂取するのは簡単なことではありません」
持続的なLEAは、重症度や持続期間によって、健康面やパフォーマンスにさまざまな影響を及ぼす可能性があると彼女は話します。
「小さなパフォーマンスの低下から、疲労、痛み、胃腸の問題、ストレス骨折、メンタルヘルスの影響、女性にとっては月経周期への影響など、より広範で劇的な症状まで、あらゆる影響があります」とエドスタインさんは話します。
「完璧がすべてではない」
思春期のアスリートは、トレーニング日のエネルギー需要の増加に対応するため、定期的に多めの食事と多めの間食を摂るよう奨励されています。
一日を通して、果物や赤身のタンパク質、ヘルシーな脂肪など、栄養価の高い食品を食べることが推奨される一方で、食べ物を「良い食品」または「悪い食品」としてレッテルを貼らないように注意が必要であるとエドスタインさんは説明します。
「子供にとっては、完璧がすべてではないのです」
例えば、朝一にトレーニングがある水泳選手にとって、事前に食事を摂ることは難しいことです。
エドスタインさんによると、パイクレットや低繊維質のシリアルなど、「加工されたヘルシーでないもの」を食べる方が、何も食べないよりはマシだと言います。
同様に、一日中トーナメントでプレーするサッカー選手にとって、これらの食品は、消火されやすく、エネルギーがすぐに利用でき、疲労の始まりを遅らせることができる、効果的なものであると説明します。
「適切なタイミングで十分な量を摂取するという意味では、栄養価の低い食べ物にも価値があります。そのバランス感覚を養うことです」
何が良くて何が悪いとレッテルを張らないことも、食べ物や身体との健全な関係を育むのに役立ちます。Holly Edstein
身体的な負担はスポーツの内容や参加時間によって異なりますが、栄養を積極的に摂ることは、負荷の高いスポーツでは特に重要だとエドスタインさんは言います。
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ケアンズ在住、3人のエリート・スイマーの母親である鬼頭華苗さんにとって、1日を通して子供たちに十分なエネルギーを補給させることは、パフォーマンスの観点からだけでなく、子供たちの成長、発育、体力のためにも非常に重要であると話します。
3人の子供たち(15歳の双子と11歳)の1日は午前4時半に始まります。

From left Skye, Sonny and Sydney Kito Credit: Kanae Kito
これまでパンやシリアル中心であった朝食を、ここ1年で米に変えたという鬼頭さん。米、みそ汁、納豆、卵を毎朝必ず出すことで、子供たちの体力が凄くついたと話します。
「やっぱり朝からしっかり食べさせないといけないということがわかり、今も試合のときも朝からご飯やみそ汁、おかずを作って食べさせています」
またスナックには、ナッツバーやプロテインバー、フルーツ、そしてレースの日には寿司ロールなどを食べさせ、エネルギー貯蔵が枯渇しないようにしていると説明します。
文化的な食べ物も一役買う
マレーシア系オーストラリア人のアレックス・ラモンドさんは現在、スポーツ栄養士になるために勉強中です。
彼は、この分野における文化的意識を高めたいと話します。
ラモンドさんはスポーツ栄養学は 「西洋的なアプローチ 」が多いと感じており、高校時代、パフォーマンスを向上させるためにチョンファン(ライスヌードル)のような文化的な食べ物を遠ざけていたと振り返ります。
「ライスヌードルは体に良くないという考えがありましたが、実際はトレーニング前に食べるには最高です」

Alex Lamond is currently studying to be an accredited sports dietitian. Credit: Alex Lamond
「人々があまり口にしない分野です。自分が慣れ親しんできた文化的な食べ物をパフォーマンス向上のために使うことができると気づいたのは、後になってからです」
スポーツ栄養を生活に取り入れることは容易なことではありません。「犠牲意識」があると、それは難しく、だからこそ自分が好きな食べ物や家族が食べているものを取り入れる必要があると彼は説明します。
「スポーツ栄養が体内でどのように機能するかを理解することで、栄養とスポーツを楽しむことができるのです」
ユースアスリートの栄養について確信が持てない、または混乱している場合は、スポーツ栄養士または栄養士に相談するのがお勧めです。
スポーツ栄養士と予約を取る際、紹介状は必要ありませんが、まずGPを通すことで、血液検査の依頼を含め、栄養士があなたの健康状態についてより深く知ることができます。
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