DV撲滅の声高まる 41人目の女性犠牲に

自宅で遺体で発見されたミシェル・ダラーグさんは、2児の母で、3人目の子供を妊娠中でした。胎児を救うこともできませんでした。

Michelle Darragh, 32, was found dead inside a suburban Melbourne home.

Michelle Darragh, 32, was found dead inside a suburban Melbourne home. Source: Facebook

この記事には、ドメスティック・バイオレンス(DV)への言及が含まれています。

2児の母で、献身的なソーシャルワーカーであったミシェル・ダラーグさん(32)は9日土曜日の夜、メルボルン郊外のベイズウォーター・ノースの自宅で、致命的な外傷を負って亡くなっているのが見つかり、その後お腹の胎児の死亡も確認されました。元パートナーであった男性は重体で病院に搬送され、現在も警察の監視下に置かれています。
Vic Police
Victoria Police are investigating the young mother's death. Source: Vic Police
事件の詳細について警察は現在調査を行っていますが、警察はミシェルさんの死に関連して、他の容疑者はいないと見ています。

隣人のトレント・ファラヘイさんによると、5年間の交際を経て、最近になって別居した2人は「郊外に住む、2人の子供を持つ標準的な若いカップル」であったと語っています。

オーストラリア・ソーシャルワーカー協会の、ビットリオ・チンチオ全国会長は、ソーシャルメディアで追悼の意を表明し、「家庭内暴力は決して許されるものではないという事実を見失ってはいけない」と、強調しました。
レッドハート・キャンペーンによると、ミシェルさんは、今年オーストラリアで暴力により死亡した41人目の女性です。レッドハート・キャンペーンは、「殺人、過失致死、育児放棄により死亡したとされるオーストラリアのすべての女性と子どもを追跡調査」を行っています。

今月初めには、リベリアからの難民であったジャネット・ドウェさん(36)が、パースの北郊外にある自宅で、遺体で発見されました。ジャネットさんも妊婦でした。

西オーストラリア州警察によると、この家には無理やり押し入った形跡はありませんでした。
Perth mother Janet Dweh was heavily pregnant when she was allegedly murdered.
Perth mother Janet Dweh was heavily pregnant when she was allegedly murdered. Source: Facebook
殺人課のロッド・ワイルド刑事部長によると、ジャネットさんの殺害は無差別に行われたものではなく、被害者と面識のある人物の犯行だと考えられています。

メルボルンで暴力に反対する運動家として活動しているタラン・チャウラさんは、2015年に妹のニキータさんを、ニキータさんの夫により殺害されてます。

「女性や子どもが巻き込まれる殺害事件が増加しています。早急に対処する必要があります」と彼は述べています。
「ミッシェルさんの死は悲しいことです、しかし驚いてはいません」とチャウラさんはSBSニュースに語っています。

「暴力を受けている女性にとって、妊娠はリスク要因です。また、別居は女性にとって最も危険な時期のひとつであることもわかっています」
Tarang Chawla (right) with his sister Nikita, who was murdered by her husband in 2015.
Tarang Chawla (right) with his sister Nikita, who was murdered by her husband in 2015. Source: Facebook
チャウラさんは、この問題について国家レベルでの明確なリーダーシップを求めまています。

「男女平等の推進、女性の健康の改善、虐待を受けている女性への適切な支援など、十分な取り組みがなされていません」

「また、男性が暴力を使うことを選択しているという問題を、取り上げることにも消極的です」。

オーストラリアでは、COVID-19のロックダウン期間中、多くの州やテリトリーでドメスティック・バイオレンス(DV)の件数が大幅に増加したとが報告されています。
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Calls are intensifying for immediate action to protect women against violence. Source: EyeEm

メルボルンにあるドメスティック・バイオレンス・クライシス・サポート「Safe Steps」の最高責任者であるリタ・ブテラ氏によると、同サービスでは今年、助けを求める声が40%も急増しており、その数は規制緩和とともに増加することが予想されています。

「ロックダウンにより、友人や家族などに助けを求めることが難しくなっている人々にとって、規制緩和が助けを求める機会を提供することを期待しています」と語りました。
ブテラ氏は、州政府や連邦政府に対し、ドメスティック・バイオレンス支援サービスに、さらなる資金を投入するよう求めています。

「ミシェルさんの事件の詳細は知りませんが、このようなニュースを聞くたびに、私たちは胸が締め付けられます」

「このような事件を目にし続けることは、コミュニティとして本当に辛いことです。問題の一つは、経済的な安定と収入の安定であり、これは女性が安全を求める上で非常に重要なことです」

ドメスティック・バイオレンスから逃れてきた女性や子どもたちのために、手頃な価格の住宅の選択肢を増やすことも良い影響を与えるとブテラ氏は述べています。

あなたやあなたの知り合いが家族や家庭内暴力、性的暴行の影響を受けている場合は、1800RESPECT(1800 737 732)に電話するか、 をご覧ください。緊急の場合は、000に電話してください。

 


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Published 13 October 2021 11:28am
By Cassandra Bain
Presented by Yumi Oba
Source: SBS


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