オーストラリアでビザを申請すると、ビザ申請の判断が下されるまでの間、合法的に滞在できるブリッジングビザが与えられます。
ブリッジングビザには複数の種類があり、申請者の状況に応じて異なる条件や権利が与えられます。
ハイライト
- ブリッジングビザ は 、現在のビザから次のビザへ繋ぐの役割を果たす仮ビザ
- オーストラリアを出国し、再入国が許可されるのはBVAと BVB のみ
- BVC と BVEは通常、就労権がないが、就労許可を申請することができる
ブリッジングビザとは?
非居住者がオーストラリアに合法的に滞在する場合、適切なビザを保持する必要があります。現在のビザが切れ、申請した次のビザ審査が終わるまで、合法的にオーストラリアでの滞在を可能にするのがブリッジングビザです。
「ブリッジングビザはあくまで、仮のもので、正規のビザではありません。この仮ビザを取得している間に、新たなビザを取得することもあれば、"合法的に"に出国を余儀なくされる場合もあります」と話すのは、アラン・ライガス・ソリシターの弁護士、アラン・ライガス氏。
ブリッジングビザは、ビザを申請してから、その申請が決定するまでの間を繋ぐものです。

The Australian migration zone is a legal device created by the Australian government for the purpose of Australia's visa policy and immigration policy. Source: Pexels/Pixabay
これらのブリッジングビザが付与する権利や課される条件は大きく異なります。
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シドニーのポケットリーガル社の移民弁護士、ラビ・ヴァスワニ氏によると、これらのブリッジングビザには「ヒエラルキー」があり、BVAからBVB、BVCと下に行くにつれて、取得方法や取得状況だけでなく、取得条件や保有期間など、より困難になると言います。
BVAとBVRを比較すれば、別世界であることがわかります
ブリッジングビザ A (BVA)
BVA は、有効なビザを保持している状態で、オーストラリアで新たなビザを申請し、その結果が出るまでに与えられるビザです。
BVAには、一般的に、申請時に保有していたビザと同じ条件が付されています。
「例えば、観光ビザを持っていて、学生ビザを申請する場合、ブリッジングビザAが発行されます」とライガス氏は説明します。
BVAを取得している人は、限られた期間であれば国外への渡航を申請することができますが、申請に対する決定が下される際にはオーストラリアにいる必要があり、これがBVAの最も大きなメリットの一つです。
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ブリッジングビザ B (BVB)
BVA保持者がオーストラリア国外に出国する許可を申請する際には、ブリッジングビザ Bの申請を行います。
ブリッジングビザBは、実質的なビザの申請が処理されている間、ビザ保持者が事前に申請している渡航期間にオーストラリアを出国したり再入国することを可能にするものです。
「これによりオーストラリアからの出国が可能となり、一般的にはBVAと同じ条件が適用されます。そのため、ほとんどの人はこの制度を利用します。再入国してもビザはBVBのままですが、BVBには期限があります。そして、BVBの期限が切れると、再びBVAに移行し、すべてが順調に進むのです」とヴァスワニ氏は説明します。

Only people on a BVA or a BVB can apply for a BVB. Source: Getty Images/Issarawat Tattong
ブリッジングビザ C (BVC)
BVCは、BVAと同様、オーストラリアで新たなビザを申請し、その結果が出るまでに与えられるビザですが、大きな違いは申請時に有効的な実質的ビザを持っていない、またはビザを一切保持していない場合に付与されます。
例えば観光ビザ保持者が学生ビザを申請する場合、BVAが発行されます。観光ビザの期限が切れた後、別のビザ、スポンサー付き就労ビザを申請すると、実質的なビザを持っていないため、BVCが付与されます。
BVCは、不法滞在者がビザ申請前に拘留されなかった場合にも与えられます。
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ヴァスワニ氏によると、一般的にBVCには労働権がありません。
「BVCは、ビザの手続きが行われる間滞在することを許可しますが、一般的には仕事をしてはいけないという条件がついています」
BVC保持者がオーストラリアを出国すると、その瞬間にビザは失効し、別のビザを取得しない限り戻ってくることはできません。
ブリッジングビザ E (BVE)
ブリッジングビザEは、オーストラリアを出国するための準備をしたり、移民問題を最終的に解決したり、移民の決定を待ったりする間、オーストラリアに合法的に滞在することができるものです、とヴァスワニ氏は言います。
ブリッジングビザの有効期限が切れた、またはブリッジングビザがキャンセルされた場合、つまり非合法滞在となった場合です
BVEは出国の準備をするなか、拘束されて強制送還される危険性を回避したり、ビザが取り消された後、その取り消し決定の見直しを申請する場合などにも発行されます。
ヴァスワニ氏によると、BVC を取得すると、BVEでは申請できない、スキルワークビザを含む数多くの種類のビザを申請できるようになります。一方で、BVE保持者が申請できるのは、一般的には保護ビザ、パートナービザ、医療ビザなどのごく一部のビザに限られます。
就労権の申請
通常、BVEにはBVCと同様に就労権はありません。
しかし、就労権のないブリッジングビザを取得された方でも申請は可能です。
この場合、労働権が認められるためには、申請者は通常、経済的困難を証明する必要があります。

Usually a BVE, like a BVC, does not come with work rights. Source: Burst/Pexels
ブリッジングビザの有効期間
ブリッジングビザの有効期間は、いくつかの問題によって左右されるとライガス氏は言います。
「一般的に、別のビザを申請した場合、ビザ申請が最終的に決定されてから35日間は、ブリッジングビザは有効です」
例えば、内務省がビザを拒否する決定を下してから35日間(保有者がその決定の再審査を申請しなかった場合)や、再審査申請が不合格になってから35日間などです。
「この35日間の間に、準備をしてオーストラリアを出国するか、可能であれば別のビザを申請することが求められます」とライガス氏は説明します。
また、BVEの期間は、出国手配の証拠を省庁に提出するためなど、より短い期間に固定されることもあれば、保有者が移民大臣介入要請を申請している場合には、より長い期間になることもあります。
このほかにも、あまり一般的ではないブリッジングビザもあります。

If you hold a BVC you cannot travel abroad under any circumstances. Source: Alexandr Podvalny/Pexels
BVD、BVR、BVD
ブリッジングビザD(BVD)は、実質的なビザを申請しようとしたが、できなかった場合に認められるビザです。
例えば、権限のある係官が面接できなかった、正しい料金を支払わなかった、間違ったビザ申請書を記入してしまったなどの理由で、5営業日以内にこれらを対応する場合です。その後、BVCを取得できる可能性があります。
ブリッジングビザR(BVR)は、移民局に収容されているが、オーストラリアからの退去が合理的に実行できない人のためのものです。退去が可能となった場合、BVRは失効します。
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ファミリービザでオーストラリア移住
ブリッジングビザF(BVF)は、人身売買や奴隷制の被害者と疑われる人で、実質的なビザを持っていない人専用のビザであり、非常に稀です。
場合によっては、内務省に直接ブリッジングビザを申請することも可能ですが、複雑な状況、特にビザが失効している場合は、できるだけ早く法的アドバイスを受けることをお勧めします。
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