ビジネス・イノベーション及び投資ビザは、2012年の導入以来、オーストラリアの経済に160億近い投資をもたらしてきました。
このビザによる受け入れは、2020-21年の年間移住プログラムではほぼ倍増し1万3,500人となり、2021-22年度もこの人数が維持されることがわかりました。
しかし、2021年7月1日からはいくつかの大きな変更点が加わります。
キーポイント:
- ビザのストリームとサブクラスの数は、従来の9種類から4種類に減少
- ビジネス・イノベーション・ストリーム申請者はより高い資産と売上審査を満たす必要がある
- 起業家ストリームのため必要であった20万ドルの資金が廃止に
ビジネスビザ サブクラスの減少
2021年7月1日より、ビジネスイノベーション及び投資プログラム(BIIP)において、新規申請者が取得できるビザの種類が、従来の9種類から4種類になります。
サブクラス188プロビジョナルビザのストリームには、ビジネスイノベーション、起業家、投資家、高額投資家が含まれ、サブクラス888を通して永住権への切り替えを可能とします。
一方でビジネスタレント永住権ビザ(サブクラス132)は廃止されました。
『VisaEnvoy』の設立者で、移民法専門弁護士であるクリス・ジョンストン氏によると、「ビジネス投資家ビザはすべてサブクラス188の中に含まれ、申請者は888ビザを通じて永住権への切り替えが可能になった」と言います。
またこれらのビザの有効期限が5年に延長されたため、永住ビザへの切り替えに必要な要件を満たすのに、より多くの時間を確保できるようになりました。

The four BIIP streams fall under the Subclass 188/888 permanent residency pathway Source: Getty Images/Anthony Harvie
さらに2021年7月1日より、BIIPビザの申請料金が11.3%上昇しました。
より高い資産と売上の要件
ビジネス・イノベーション・ストリーム(118A )の申請者はより高い資産と高いターンオーバー(売上)を満たす必要となります。これはBIIPが2012年に導入されて以来初めての変更です。
「個人資産と事業資産は80万ドルから125万ドルに増加し、ターンオーバーも増加しています」とジョンストン氏は言います。
新規申請者の場合、ターンオーバーの要件は50万ドルから75万ドルに引き上げられています。
またこれらの要件は、ビザを申請する前の過去4会計年度のうち、少なくとも2会計年度で満たす必要があります。

For the Business Innovation stream the level of investment has been increased Source: Getty Images/Colin Anderson Productions
投資家と高額投資家ストリーム
高額投資家ストリームの投資額はこれまで通り500万ドルである一方で、投資家ストリームは150万ドルから250万ドルに投資額が上がっています。
ジョンストン氏によると、申請者はこれまで州政府の債権に投資することができましたが、今後はコンプライイング・インベストメント・フレームワークで定義された、適合投資に拠出する必要があると指摘しています。
コンプライイング・インベストメント・フレームワーク率から、ベンチャーキャピタルへの投資が増加した一方で、バランシング・ファンドへの投資が減少したことがわかります
コンプライイング・インベストメント・フレームワークでは、以下の投資が求められます
- 20 % ベンチャーキャピタル、プライベート・グロース・エクイティ・ファンド
- 30 % 新興企業への投資
- 50 % バランシングファンドへの投資Previously applicants were able to invest in the state government bonds, but now they must finance complying investments Source: Getty Images/Evgenia Siiankovskaia
起業ストリーム申請の資金条件廃止に
『SeekVisa』の弁護士兼ビザエージェントであるベン・ワット氏によると、起業ビザストリーム(サブクラス188)の申請者は、20万豪ドルの資金を満たす必要がなくなったと言います。
商品化してオーストラリアに持ち込みたい素晴らしいアイデアを持っていることを証明できれば、188ビザを申請することができます
「以前は、特定のインデックスに掲載されているファンドや大学から20万豪ドルの資金が必要でした。 しかしそれが廃止された今、多くがこのビザを申請すると、私は考えています」とワット氏は言います。
また、永住権を取得するため、起業ストリーム・プロビジョナル・ビザを保持中に満たす必要があった要件も簡素化され、年間売上高をはじめ資金調達、そして少なくとも2人のオーストラリア人の雇用を確保するなどといった、義務もなくなりました。
ワット氏は、起業ストリームは、従来のビジネスだけでなく、より大きな社会利益に繋がる革新をもたらすものであると、起業ストリームの変更を歓迎しています。
自分のアイデアに、大きな経済的リターンがなくても、社会に役立つことを説得できれば、申請が成功する可能性があります。これはとても良い変化だと思います

Applicants under the Entrepreneur stream need to be endorsed by a State or Territory government Source: Getty Images/Kelvin Murray
「オーストラリアは投資家にとって魅力的な国であり、今回の変更は、新興企業、オーストラリアのアイデアの商業化、研究開発に直接利益をもたらすでしょう」と、変更発表時の5月に述べていました。
「投資基準の増額と、ベンチャーキャピタルとプライベート・グロース・エクイティに焦点を当てた投資比率の調整は、オーストラリアのイノベーションと新興企業をよりサポートするでしょう」
ビジネスビザ及び投資ビザの申請者は、スキルセレクトを通じて関心表明を行うことができます。ビザ申請の際には、州やテリトリーからの推薦が必要となります。
READ MORE

2021年7月1日からのビザに関する8つの重要な変更点
火木土の夜10時はおやすみ前にSBSの日本語ラジオ!