NDIS国民障害者保険制度 を利用した障害者の芸術活動

Studio A artist Emily Crockford (left) with artistic director Gabrielle Mordy in front of one of Emilys public murals in Sydney

Studio A artist Emily Crockford (left) with artistic director Gabrielle Mordy in front of one of Emilys public murals in Sydney Source: Katherine Griffiths

障害をもつ芸術家は、アーティストやパフォーマーなどオーストラリア芸術家全体のほぼ10%ほどにしかおらず、芸術分野では過小評価されています。障害者が芸術の道に進むことを提唱している人たちは、芸術は障害者の人生の質を上げるだけでなく、職業としても考えられると述べています。現在では、国民障害者保険制度を使ってより容易に芸術に関わることが出来る様になりました。


トム・ロバーツさんはドバイにある世界一の高さを誇るブルジュ・ハリファになりきっています。自分の周りの人たちを電車や他の建物として扱っているトム君の作品はそのような存在感があるものが多いのです。

「僕の名前はトムです。僕はこの地球上で一番高い建物なんです。あのね、僕はカントリー・エクスプレス・サービスの超スピードの列車だよ。」

トムさんはオーストラリアの芸術シーンを揺るがす障害者アーティストの1人です。しかし、この障害者アーティストたちはあまりに過小評価されがちなのです。

オーストラリア国民の20%近くが何らかの障害を抱えています。しかし、芸術の分野では障害者アーティストが占める割合はほんの9%しかありません。

エミリークロックフォードさんの世界では、すべてはカラフルな色がいっぱいの万華鏡みたいなものなのです。
ピンク色にしたって、ただのピンクじゃありません。ショッキングピンクとでもいえる明るいピンクです。
そして赤色だって紅色というよりは燃える様な消防車の赤です。

 「色や模様を使って絵をかくのが大好きなの。お花が好きで、野生の花を描くのが好き。」

今ではこの様な芸術家やたくさんの人たちが「チューズ・アート」と呼ばれる新たな全国規模のオンライン・ダイレクトリーを利用できるようになりました。これは障害者による障害者のために作られたもので、アマチュアとプロを結び芸術の分野での機会を増やすことを目的としています。ダンサーであり、俳優であり、他になんでもお任せのキャロライン・ボーディッチさんはこれを開発した立役者です。

 「利用できる芸術関係の情報を見つけようとすることはまるで干草の山から1本の針をみつけるくらいに大変なことです。ですから、障害者が芸術的な活動をしようとする際にはたくさん電話をしたり、人と会ったりしなければならなくて、制度を利用できるようにしたり、そういった機会を見つけるということは本当に難しいことなのです。ですから、すべてが一箇所に集中している便利なみんなの役に立つなにかを作りたかったんです。」

去年、ボーディッチさんはイギリスの華やかな世界を去り、アーツ・アクセス・ビクトリアでの仕事に就きました。
そして現在「チューズ・アート」を通して、国民障害者保険制度を利用することによって、より多くの人たちが芸術に携わることを望んでいます。

「たくさんの障害者達が芸術を人生の大切なものとして活動しています。現在では芸術は人々の生活にとってものすごく重要なものになっていますが、もともとは芸術は生活に本当に必要なものであるとは考えられていませんでした。でも、そのときでも、私たちは芸術が人生にとって欠かすことの出来ないものだということはわかっていたのです。」

全国障害者保険局のジェイミー・ロウ氏は、この様な動きを歓迎しています。

「現在、国民障害者保険制度を利用している人たちは30万人を超えており、今後は50万人を超すと考えています。そしてその中で、新規や既存の利用者らの中から、芸術を目指して保険制度を利用してくれる人たちが増えてくればいいなと思っています。」

アーティストのエミリー・クロックフォードさんやトム・ロバーツさんはシドニーにあるスタジオAに所属しています。スタジオAは知的障害をもったプロの芸術家達を支援する社会的企業です。このスタジオのガブリエル・モーディ芸術監督は、障害をもったプロの芸術家達の作品に対して誤解があることも多いと語ります。

「うちに所属する多くのアーティストにとって芸術がまさにすべてなんです。世界における喜びの場所であり、この世界での彼らの言語であり、世界との関わりを表現する方法なのです。そして、それがまた彼らの仕事でもあるのです。ですから、このコミュニティーが受け入れる種類の芸術というのは実はとても狭い考え方だと思われます。実際スキルや才能がある芸術家もいるのに、芸術とは人々を癒すためのものだけだという狭い考え方なのです。

トム・ロバーツさんとエミリー・クロックフォードさんの2人は現在シドニーの中心部でショーの開催中です。

「ものすごく素敵。私は有名人よ。両親は私を本当にとても誇りに思ってくれてるわ。」

彼らのようなアーティストたちに新たな活動の場を与えようとする動きが増えれば増えるほど、自分たちの活動によって、他の人たちも芸術の扉を開けたくなるようにと、彼らは望んでいます。

NDISについて知りたいかたは、下記の記事をごらん下さい。
: NDIS [Credit: National Insurance Disability Agency]
: NDIS [Credit: National Insurance Disability Agency] Source: : NDIS [Credit: National Insurance Disability Agency]



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