人生の節目に関わり深い部分でつながる — 結婚式・お葬式セレブラント カーヴァー恵さん

Marriage and Funeral celebrant, Megumi Carver (Supplied: Katsu Nojiri, Sydney Wedding Photography by Katsu)

Marriage and Funeral celebrant, Megumi Carver (Supplied: Katsu Nojiri, Sydney Wedding Photography by Katsu)

シドニー在住、人前式の結婚式・お葬式のセレブラントをしているカーヴァー恵さん。元々は抽選に外れて来たオーストラリアでしたが、繰り返し来豪し、永住を決めるほどオーストラリアに魅せられました。 Covidのパンデミックが恵さんの結婚式のお仕事に与えた影響や、こちらのセレモニーに見られる文化、また人生の締めくくりに携わる仕事から受けた考え方への変化など、お話を聞いています。


カーヴァー恵さんは、オーストラリアで人前式の結婚式・お葬式のセレブラント、また通訳・翻訳の仕事もしています。
(Supplied/ Alanis Kim, RUSSELL STAFFORD PHOTOGRAPHY)
(Supplied/ Alanis Kim, RUSSELL STAFFORD PHOTOGRAPHY) Credit: Alanis Kim
さんが最初にオーストラリアに来たのは1996、97年。日本の短大で英語を勉強していた恵さんは、英語を使う国に行って生活してみたいという思いが漠然とあり、海外での日本語教師のボランティアの募集があったのを利用しました。本当はイギリスに行きたかったのですが、人気があって抽選に外れてしまったとのこと。第二希望としてたまたま書いていたのがオーストラリアでした。そうして「凄く行きたかったというわけではない」オーストラリアに来ることになりました。


初めはブリスベンに来て、ボランティアが終わって帰国しましたが、再度98年にワーキングホリデーをしにオーストラリアに戻ってきました。ワーキングホリデー期間が終わって帰国後、今度は、将来オーストラリアで暮らしたいと思って3度目の渡豪。西シドニー大学で通訳・翻訳の国家資格を取るコースに入学し、卒業後に永住することになりました。

元々は、抽選に外れて来ることになったオーストラリア。戻って来たいと思ったこの国の魅力は何だったのでしょうか。
(Supplied/ James Gough, Lost in a Daze Photo Co.)
(Supplied/ James Gough, Lost in a Daze Photo Co.) Credit: Lost in a Daze/Lost in a Daze
ホームステイ先のホストファミリー、また学校やコミュニティーの人やがフレンドリーで温かかった。今ほど英語も流暢でなく、若くて右も左もわからなかった自分を一個人として受け入れてくれて、リスペクトしてくれた、また住んでいたブリスベンの郊外の自然に魅せられた、と恵さんは振り返ります。


現在は人前式のセレブラントとして活躍するカーヴァー恵さんですが、コロナウイルスのパンデミックは、恵さんの結婚式の仕事に大きく影響しました。2019年末に、翌年の目標を立てていたところで、パンデミックが起こり、入っていた結婚式はキャンセル・または延期、ということになりました。さらに一時期は結婚式自体が禁止され、仕事が全くなくなった、と語ります。

しかしこの1年半程前からは、仕事がなかった分を取り返すかのように物凄く忙しい、とのこと。保留になっていた、式を延期せざるを得なかったカップルからの予約、またパンデミック中に結婚したかったが出来ずにいたカップルからの予約で、昨年は結婚ラッシュだったと言います。今年の前半程までは、これまでのバックログをクリアしている状態だとのことです。
Megumi Carver (Supplied/Katsu Nojiri, Sydney Wedding Photography by Katsu)
Megumi Carver (Supplied/Katsu Nojiri, Sydney Wedding Photography by Katsu)
オーストラリアでは同じバックグラウンド同士のカップルの結婚よりも、そうでない二人の結婚の方が多いと思う、と言う恵さん。恵さんが最初にオーストラリアに来た時に受けた印象と同様に、包容力を持って異なる文化を受け入れるという文化を感じるとのことです。そのため結婚式は色んなものが融合された式になることがよくあるそうです。また、式の最後の誓いのキスでは、アジア系のバックグラウンドを持つ人の場合、人前で唇にするということが文化的に好ましくないように考えられていることもあるので確認するなどと気をつけています。
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(Supplied/Katsu Nojiri, Sydney Wedding Photography by Katsu)
人の人生の節目に関わることができるということ、またカップルやご遺族と喜びや悲しみなどの感情を共有したり深い部分でつながることができるということが今の仕事の魅力だと思うと語ります。 

お葬式のセレブラントとして人生の締めくくりに携わる仕事をして、今までも自分の好きなようには生きてきた方だとは思うが、自分と周りの人が幸せに悔いのないように生きていくにはどうしたらいいかということを優先させるようになった、お金や物に対する執着や、人からどう思われるかということに対する執着などが減った、ということが、自身において変わったことだと語ります。自分が死ぬまでに何が出来るのか。自分が幸せで、家族も幸せで、周りの人も、ということを考え、そういう風に生きたいと思うようになった、とお話ししてもらいました。

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