センサスとは?
オーストラリアでは5年おきに、国内の人口や世帯の実態を把握することを目的とした国勢調査、センサスを実施しています。
正式には「Census of Population and Housing」と呼ばれ、前回の調査結果と比べることで、オーストラリアにおける変化を一目で確認することができます。
キーポイント:
- 今年のセンサスナイトは8月10日(火)
- センサスへの参加は義務であり、提出しないと多額の罰金を科せられることも
- 2016年にセンサスのウェブサイトがクラッシュしたことを受け、ABSは新しいシステムを構築
どのような質問をされるのか?
センサスでは、年齢や性別、配偶者の有無、世帯構成、仕事、職業など、主要な人口統計に関する60の質問があります。
また、言語、文化、祖先についても質問されます。
ABSセンサス部門のゼネラルマネージャーであるクリス・リブリ氏によると、文化に関する質問は多く、言語や出生地、両親の出生地なども問われると言います。
また2021年のセンサスでは、新たに2つの質問が含まれました。ひとつはオーストラリア国防軍での勤務について、もうひとつは健康状態についてです。

Policymakers use the census data to decide how to allocate taxpayers’ dollars for critical public services Source: Getty Images/SolStock
センサス当日"センサス・ナイト"
オーストラリア統計局は、2021年8月10日(火)の"センサス・ナイト"に国勢調査を実施します。
通常、センサスは"センサス・ナイト"に実施されますが、今回は世帯固有のセンサス番号と仮パスワードを受け取り次第、回答作業を始められます。
オンラインでの記入が難しい場合は、自動応答サービスでペーパー式用紙を請求することが可能です。
なぜ行われるのか?
2021年の国勢調査では、オーストラリアの2,500万以上の人々と1,000万世帯のデータが収集されます。
これらの情報は、健康、交通、学校、インフラなどに関する政府の重要な意思決定に使用されるほか、企業や地域のサービス提供者が、地域のニーズを把握するために利用されます。
「何かを設置したり、特定の地域のサービスを見直したりするには、そこに住んでいる人やその特徴を知る必要があります。センサスはその情報を提供してくれるのです」とリブリ氏は言います。
センサスから得られる情報は、地域のスポーツクラブからスーパーマーケットの商品、図書館に置いてある異なる言語の本まで、地域コミュニティのニーズを把握するのに役立ちます。
例えば、オレンジ・アボリジナル・メディカル・サービスでは、センサスから得られたデータを用いて、コミュニティのニーズを把握していると、同サービスのCEO、ジェイミー・ニューマン氏は語ります。
センサスや投票に参加することは、私たち国民が発言権を持つための手段です
参加対象者は?
センサスは、投票と同様、オーストラリアでは義務づけられています。唯一の違いは、ビザのステータスやオーストラリア市民権の有無に関わらず、参加する必要があることです。
センサスの夜に、オーストラリア国内にいる人はセンサスを記入する必要があります。ビザのステータスや市民権の有無は関係ありません
-センサスのゼネラルマネージャー、クリス・リブリ
センサス・フォームへの記入は、Census and Statistics Act 1905(国勢調査・統計法)の権威に基づき、必須です。正当な理由なく記入しなかった場合には、多額の罰金が科せられます。
リブリ氏によると、前回のセンサスでは、2500万人のオーストラリア人のうち、実際に裁判になったのは100人以下だったと言います。
「罰金は通常1,000ドル程度ですが、これは裁判所が課すものです」
センサスを唯一免除されるのは、外国の外交官とその家族です。

Census is done in nearly every country globally, but the Australian one is the longest Source: WILLIAM WEST/AFP via Getty Images
データの安全性は?
2016年のセンサスでは、センサスのウェブサイトが調査の夜にサイバー攻撃を受け、ABSはサイトの停止を余儀なくされました。
上院の委員会は、オーストラリア国民の個人データを保護するために、ABSが取った行動は正しいと結論づけた一方で、ABSがセンサス参加者の氏名と住所を収集することを決定した後、人々のプライバシーに関する懸念に対応していなかったと指摘しました。
リブリ氏は、回答者の名前と住所を保持することで、データの質が向上すると述べています。
また、ABSは集計された統計のみを作成しており、個人情報は政府機関を含めて誰にも公開・共有されていないことを強調しています。
「私たちは統計を作成しますが、個人の情報を公開することは絶対にありません。実際、それは法律違反です。ABSは110年以上続いていますが、私の知る限り、その法律に違反して個人情報を公開したことは一度もありません」と述べています。
データは基本的にあなたのコンピュータを出た時点で暗号化され、それを解読する鍵を持っているのはABSだけです

Under the Census and Statistics Act 1905, the ABS cannot release information about an individual. Source: Getty Images/gremlin
最先端のシステム対ハッカー
ABSは2021年のセンサスのために新たなコンピュータシステムを導入しました。オーストラリア国家監査院は2020年11月、2021年のセンサス計画は「部分的にしか効果がなかった」と述べ、システムに弱点があることを明らかにしました。
しかしリブリ氏によると、新システムは「最高水準」で構築されており、人々は「それなりに安全」と感じることができると説明します。
オーストラリアのセキュリティ機関、特にサイバーセキュリティセンターと呼ばれる機関にもあらゆる段階で協力してもらいました
「また、もうひとつの取り組みとして、実際にハッカーを雇い、保護されていない部分がないかという確認もしています」
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