オーストラリアの今年の流行語決定

マッコーリー辞書が選ぶ2022年度の流行語は"Teal"。ピープルズチョイスは"Bachelor's handbag"でしたが、これらの言葉の意味をご存知ですか?

Graphic featuring dictionary background, with a roast chicken in a bag and a teal-coloured picture of Zali Steggall overlayed.

Macquarie Dictionary has revealed its word of the year for 2022, with 'teal' taking out the committee's choice and 'bachelor's handbag' nabbing the people's choice votes. Source: SBS

Key Points
  • マッコーリー辞書が選ぶ「ワード・オブ・ザ・イヤー」は"Teal"
  • プラスチックバッグに入ったテイクアウェイ用のローストチキンを指す"Bachelor's handbag"が、ピープルズチョイス部門を受賞
  • 過去の流行語にはstrollout、doomscrolling、milkshake duckなどがあります
「Truth-telling」、 「goblin mode」、 「nepo baby」などのフレーズは、現在あなたのボキャブラリーに含まれていないかもしれませんが、近い将来、使う日が来るかもしれません。

マッコーリー辞書が選ぶ「ワード・オブ・ザ・イヤー」が発表され、今年は「Teal」が選出されました。またピープルズチョイス部門には、「Bachelor's handbag」が最も多くの票を集めました。

さらには、「Truth-telling」が、「2023年の展開を示す言葉」として、審査員により初めて2位に選出されました。

「『先住民の議会への声』の議論が高まる中、我々の過去について、明確で飾り気のない真実を語ることの必要性に注目が集まっています」と、委員会は述べています。

これらの言葉やフレーズは、実際にどのような意味を持つのでしょうか? そしてこれらは今後も使い続けられるでしょうか?

ワード・オブ・ザ・イヤーとは?

ワード・オブ・ザ・イヤーは、マッコーリー辞書、オックスフォード辞書、メリアム-ウェブスター辞書、オーストラリア国立辞書センターなどの辞書や出版物によって毎年発表されます。

マッコーリー辞書のリストは、過去1年間に辞書に追加された新しい単語と意味に限定されています。

候補となる単語はカテゴリー別に分類され、委員会の投票によって20の最終候補が公開されます。

今年の流行語「Teal」は、一般的にイデオロギー的に穏健な意見を持ちながら、強力な気候変動対策と政治における誠実さを優先する独立系政治家候補を指す言葉です。

「既存の言葉の新しい定義がリストに載ることはあまりありませんが、今年の流行語を見ると、明らかに変化が見られます」と、マッコーリー辞書のビクター・モーガン編集長はSBSニュースに語りました。

「今年以前、Tealは色(深い緑青)を表す言葉であり、またカモの一種でもあったのですが、ある一定の共通した見解を持つ独立系候補を表す言葉として使われ始めました」。
ピープルズチョイスに選ばれた「Bachelor's handbag」は、スーパーマーケットで販売されている、テイクアウェイ用のローストチキンで、食べる前の準備が不要で、しばしばハンドル付きの小さなビニール袋に入っていて、ハンドバッグに似ていることから名づけられたそうです。

モーガンさんは、この言葉が流行したことに驚きはなかったと言います。

「ここ数年、COVID-19や山火事、ドゥームスクロールなど、深刻な出来事に関連したものばかりでしたが、オーストラリア人は言葉遊びを楽しむのが好きなのです」。

「ですから、バチェラーズ(独身男性用)ハンドバッグがこれほど人気があることに驚きはありませんでした」。

委員会が2位に選出した「Truth-telling」は、次のように定義されています。
「ある状況における事実を、過去の行為を正当化するために施された装飾や希釈を除いて語る行為」。

これらの言葉やフレーズは、今後も残る?

これまで選出された流行語の多くは、特定の世界情勢や政治問題、ニュースとの関連で歴史的に脚光を浴びるようになりました。

オーストラリア国立大学のオーストラリアン・ナショナル・ディクショナリー・センターの研究者であるマックス・グウィン氏は、特に政治的な文脈を持つ言葉は、時間とともに使われなくなることが多いと言います。
「それがこれらの言葉の性質です。時折また使われることもありますが、政治的な文脈で使われた言葉に関してはすぐに古くなるでしょう」

しかし、モーガンさんによると、流行り廃りのある言葉やフレーズがある一方で、寿命の長い言葉もあるそうです。
例えば数年前に、コミッティーズ・チョイスに挙がった「Cancel culture(不適切な発言や行動などを理由に、その対象人物のすべてを、主にSNS上で否定・追放する)」。

当時は「こんなの聞いたことがない、バカげてる、存在しない 」といった反発が少しありましたが、今では、キャンセルカルチャーを知らない人はいません、とモーガンさんは説明します。

過去の流行語

2021年『Strollout』(Committee Choice and People's Choice): オーストラリアにおけるCOVID-19ワクチン接種プログラムの展開と、そのスピードのなさについて言及したもの。

2020年『Doomscrolling』(Committee Choice): ネガティブで動揺する内容にも関わらず、オンラインやソーシャルメディア上のニュースフィードを読み続ける行為。

2020年 『Karen』(People's Choice): マッコリー辞書によると、カレンは「主にX世代の中流白人女性を指し、権利意識が強く、見下した態度をとり、しばしば人種差別的であるとみなされる」。

2019年『Milkshake Duck』(Committee Choice): 最初はメディアから好意的に見られていたのに、何か疑わしい点があることが発覚し、人気が急落してしまう人のこと。

2019年 『Robodebt』(People's Choice): マッコリー辞書によると、ロボデット制度は受給者が政府に申告した収入とオーストラリア税務局が記録した収入を比較する自動処理によって算出された給付金の過払いによって生じる政府への債務と定義されており、債務回復通知書が自動的に作成されて生活保護受給者に送付されるとしています。

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Published 30 November 2022 8:20pm
By Yumi Oba
Source: SBS


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