パートナーよりも収入が多い女性はDVを受ける可能性が高い 豪研究結果

オーストラリアの画期的な研究によると、女性がパートナーの男性よりも多くの収入を得ている場合、家庭内暴力を受ける可能性が35%高いことがわかりました。

In Australia, violence against women is called many different things, including domestic violence, family violence, intimate partner violence, sexual harassment and sexual assault.

家庭暴力可能对受害者或目击者的心理健康产生重大负面影响。 Source: Getty

新たに発表されたオーストラリアの研究によると、女性がパートナーの男性よりも多くの収入を得ている場合、家庭内暴力(ドメスティック・バイオレンス、DV)を受ける可能性が35%も上昇することが明らかになりました。

また、女性の稼ぎ頭がパートナーから精神的な虐待を受ける可能性も20%高く、男性が伝統的な性別意識あるいはジェンダー規範を変えることにまだ抵抗があることを示唆しています。

この研究は、10年以上にわたるオーストラリア統計局(ABS)の調査をもとにしたもので、女性がパートナーよりも収入が多い場合に増加する暴力は、年齢、収入、教育レベル、文化的背景を問わず共通していることもわかりました。
オーストラリア国立大学の研究者で、タックス・アンド・トランスファー研究所のロバート・ブリューニ所長と、リン・ジュンジエ・ジャン氏によると、男性に対する家庭内暴力や精神的虐待の発生率に、収入による影響は見られず、また、女性の収入が増えても、世帯収入の半分以下にとどまっていれば、身体的・精神的虐待の経験に変化はないことがわかりました。

「ジェンダー規範が破られた場合にのみ、身体的暴力や精神的虐待の発生率が上昇する 」と報告されています。

これらの研究結果は、まだ専門誌には掲載されていませんが、著者らは、男性が女性の経済力の向上を「脅威」と捉え、虐待的な行動によって家庭内の権力を取り戻そうとする可能性があると述べています。
ブリューニ教授は、「非常に驚くべき研究結果だ」と述べています。

「なぜなら、女性の経済状況が改善すれば、家庭内の状況も改善すると考えられるからです」。

家庭内暴力や精神的虐待の報告の増加は、学歴や収入、年齢によるものではありませんでした。

「これは一家の稼ぎ頭としての男性の役割に人々が非常に満足していることを表しており、それが破られることにより混乱が生じ、女性に対するさらなる暴力となって現れるということなのです」

オーストラリア保健福祉研究所のデータによると、オーストラリアの女性の6人に1人が、現在または過去のパートナーから何らかの形で身体的または性的な暴力を受けた経験があるのに対し、男性は16人に1人となっています。
一方、先週発表されたバンクウェスト・カーティン・エコノミックス・センターの報告書によると、フルタイムの男女間賃金格差が解消されるには、さらに26年かかることが明らかになりました。

「女性の経済状況が改善されたからといって、他の問題が解消されると考えることはできません」とブリューニ教授は述べています。

「ドメスティック・バイオレンスに対処するためには、個別の政策が必要です。女性が関係を断つことができ、誰に連絡し、どこに行けばいいのかを認識できるようにする必要があります」

ニューサウスウェールズ州のウーマンズ・セイフティの最高責任者であるヘイリー・フォスター氏は、女性に対する暴力の最大の要因は、「性別の役割や期待に関する硬直した固定観念」であることはよく知られているとSBSニュースに述べました。

「それと男性の暴力との間には明確な関連性があり、今回の調査でも示されています」

 

あなたやあなたの知り合いが、性的暴行、家族や家庭内暴力の影響を受けている場合は、1800RESPECT(1800 737 732)に電話するか、1800RESPECT.org.auをご覧ください。緊急時には、000に電話してください。

 

火木土の夜10時はおやすみ前にSBSの日本語ラジオ!

から過去のストーリーを聴くこともできます。

SBS 日本語放送のもお忘れなく。

 

 

 


Share
Published 30 March 2021 3:48pm
By Maani Truu
Presented by Yumi Oba


Share this with family and friends