Key Points
- 西オーストラリア州のテイクアウト用コーヒーカップの禁止令が2月27日から施行されます
- オーストラリアでは年間、推定で8億4000万個の使い捨てカップが使用されています
- コンポスト可能なカップは現在禁止となっていませんが、それらを適切に処理する設備が整っていません
オーストラリア全土のカフェで広く使用されているテイクアウト用コーヒーカップは、本体が厚紙でできている一方で、中の液体が染み出ないように、内側はプラスチックでコーティングされています。

If disposed of in general waste, compostable coffee cups will create methane as they break down in landfill. Source: Getty / Nungning20
しかしゴミの削減を提唱する人々は、コンポスタブルカップが期待されたほど環境に優しくないとの見解を示しており、できる限り再利用可能なコーヒーカップ(マイカップ、マイタンブラーなど)を使用するよう呼びかけています。
西オーストラリア州最新の使い捨てプラの禁止
2018年の軽量プラスチック袋の禁止に続き、西オーストラリア州は2022年の初めに皿、カトラリー、ストローなど多くの使い捨てプラスチックアイテムを禁止しました。
この次の段階では、コンポストすることができないプラスチック製のテイクアウト用コーヒーカップの他に、プラスチック製の青果物袋やプラスチック製の茎のついた綿棒が禁止項目に追加されています。
州政府によると、消費者がマイカップを持参しない場合、または店内でコーヒーを飲んで行かない場合、代替コーヒーカップは小売業者にコーヒー1杯あたり7セントの追加負担を強いることになると発表しています。
小売業者やサプライヤーは、この新たな禁止令に違反した場合、最大2万5000ドルの罰金を科せられる可能性がありますが、政府は「常識的で教育優先のアプローチ」を用い、異なる品目について6ヵ月から28ヵ月の移行期間を認めると述べています。
同州におけるプラスチック製コーヒーカップ禁止の完全施行は、2024年3月を予定しています。
州政府は、この新たな禁止令により、同州のプラスチック廃棄物が年間7億個削減されると試算しています。
現在提供されているカップの代替品
マーク・マックゴーワン州首相がソーシャルメディアに投稿したように、堆肥化可能な持ち帰り用コーヒーカップは、禁止対象となるカップの代替となるものです。
オーストラリアの一定の基準を満たした堆肥化可能なカップは、引き続き許可されます。
コンポスタブルコーヒーカップは正しいプロセスを踏めば、産業施設において12週間以内に分解することが可能ですが、懸念を示す人もいます。
その懸念事項とは?
プラスチックフリー・ファンデーションのエグゼクティブディレクターであるレベッカ・プリンス=ルイーズ氏は、西オーストラリア州の禁止令の問題点は、使用されている材料の量を大きく減らすことができないことだと述べています。
「コンポスタブルカップがコンポストされずに埋立地へ送られるとしたら、それは単にメタンの発生を増加させるだけです」
「確かにこれらの製品はコンポスト可能かもしれませんが、ほとんどは公共の場で使用されているため、公共のごみ箱に入ることになり、産業施設(処理施設)に入ることはないでしょう」
「私たちは、必ずしもこれらのゴミを処理するための収集やシステムを持っているわけではありません」
持続可能な教育とソリューションを提供する社会的企業ドゥナット・ウェイストの創設者シャーカ・ホーンナコバさんは、西オーストラリア州内で販売されている工業的に堆肥化可能なコーヒーカップが実際に堆肥化されるとは思えないと述べています。
Sharka Hornakova says WA's incoming ban on takeaway coffee cups does not go far enough.
「不純物が混入する可能性が高いので、コーヒーカップは一般廃棄物に分別しています」とホーンナコバさんは説明します。
コンポスタブルカップメーカー
BioPakのギャリー・スミスCEOは、同社が製造するコンポスタブルコーヒーカップは化学物質PFASを含んでいないと説明します。
スミス氏によると、ホバートとアデレードのカウンシルでは、FOGO コレクション(フードオーガニック、ガーデンオーガニックの回収)でコンポスタブル包装も回収されていると説明し、使い捨てプラスチックの禁止が進むなか、規制当局は認証製品が受け入れられるように努力すべきであると述べています。
スミス氏は、 BioPakのコンポスタブルコーヒーカップの何パーセントが堆肥化されているかは明らかにしていないものの、包装が確実に栄養のある土に戻るためには「教育が必要である」と訴えています。
代替案は?
プラスチックフリー・ファンデーションが行った調査によると、コーヒーカップに関する行動に変化をもたらす可能性がある対策は、テイクアウト用コーヒーカップを選ぶ客に手数料を課すことだと言います。
もうひとつは、食器を洗う設備がある飲食店でのテイクアウト用コーヒーカップを完全に禁止することです。
ドゥナット・ウェイストのホーンナコバさんによると、すでにこの方針を取り入れて営業しているカフェもありますが、多くはビジネスが成り立たなくなることを恐れて実行していません。
「カフェは、そんなことをしたら他の店に行ってしまうと心配しているのです。だったら完全に禁止するのはどうでしょうか」
火木土の夜10時はおやすみ前にSBSの日本語ラジオ!
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