世界保健機関(WHO)の専門家は、存続のCOVID-19ワクチンを繰り返し投与することは、今後新たに出現する変異株に対する有効な戦略ではないと警告し、感染予防がより高い新たなワクチン開発が必要であると訴えました。
新型コロナウイルスワクチンの効能を評価するためにWHOが設立した技術諮問グループ (TAG-Co-VAC)は、11日火曜日、新たな変異株が出現するたびに存続のワクチンを繰り返し打つことは、パンデミックと戦う最善の方法ではないと述べました。
「存続のワクチンを繰り返し接種する戦略は、適切でも持続可能でもない」
同グループは、急速に広がり、これまでに149カ国で検出されたオミクロンのような新しい変異株をターゲットに、既存のワクチンを更新する必要性を訴えています。
また、COVID-19による重症化だけでなく、感染そのものの予防にも十分な効果がある新しいワクチンの開発も求められています。
インフルエンザのように扱うのは時期尚早
WHOのハンス・クルーゲ欧州地域事務局長は、欧州人口の半分以上が6~8週間以内にCOVID-19のオミクロン株に感染する勢いであることを明らかにしましたが、これを「インフルエンザ的流行病」と見なすべきでないと警告しています。
またWHOは、この病気を風土病、つまりインフルエンザのように定期的に発生する軽い病気として扱うのは時期尚早であると述べています。
「このウイルスはまだ現在でも非常に速く進化しており、新しい課題を突きつけています。つまり、この病気を風土病と言える段階ではないのです」とWHOのキャサリン・スモールウッド上級緊急担当官は述べています。
「このウイルスは、ご存知のように、何度も私たちを驚かせてきました...。2022年の目標は、パンデミックを安定化させることです」と、クルーゲ欧州地域事務局長は言います。
感染症の予防
技術諮問グループ (TAG-Co-VAC)は「重症化や死亡の予防に加え、感染予防に高い効果を発揮するCOVID-19ワクチンが必要であり、開発されるべきである」と述べています。
これにより、「地域社会での感染や、厳格で広範な公衆衛生・社会的措置の必要性を低下させることができる」と説明。
またワクチン開発者は、「ブースター投与の必要性を減らすために、広く、強く、長く続く免疫反応を誘発する」ワクチンを作るよう努力すべきであると提言しています。
WHOによると現在、世界中で331種類のワクチン候補が研究されていますが、新たなワクチンが開発されるまでは、「存続のCOVID-19ワクチンを更新する必要があるかもしれない」と述べています。

A health worker administers the vaccine for COVID-19 to a woman in Ahmedabad, India. Source: AP
これにより、「オミクロンや将来の変異株を含むVOC(懸念される変異株)による感染や疾病に対して、WHOが推奨するレベルの防御を提供し続けることができるようになります」。
オミクロン株がアフリカ南部で最初に検出されてからわずか数週間で、これまでの変異株よりはるかに感染力が強いだけでなく、いくつかのワクチンによる防御をかわすのに優れていることが明らかになってきています。
WHOはこれまでに8種類のワクチンを承認しており、これらはウイルスのあらゆる変異株による重症化および死亡に対して高いレベルの防御を提供することを強調しています。
しかし、予備的データでは、既存のワクチンはオミクロン変異株に感染した、症候性COVID-19疾患を予防する効果は低いとのことです。その一方で、重症化に対する予防効果は「より保たれる可能性が高い」と言います。
「しかし、ワクチンの効果、特に入院、重症化、死亡に対する効果については、各ワクチンプラットフォーム、あらゆるワクチン投与量や製品レジメンを含めて、より多くのデータが必要である」と述べています。
「一次予防接種が最優先」
WHOの技術諮問グループは、「世界にとって当面の優先事項は、一次予防接種へのアクセスを加速すること」とであると強調しています。
国連の保健機関は、オミクロンのような懸念される変異株に対抗するために、多くの国で包括的なブースタープログラムを展開する必要があると訴えていますが、貧しい国では現在でも1回目のワクチンを待っている状態であり、これは「より危険な変異株が出現する可能性を高めている」とWHOは指摘しています。
AFPの集計によると、これまでに少なくとも219の地域で80億回以上のCOVID-19ワクチンが投与されています。
しかし、国連の数字によると、高所得国では67%以上の人が少なくとも1回の接種を受けているのに対し、低所得国では11%以下しか受けていないことが明らかになっています。
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