連邦政府が６日夜に発表した2020/21年度予算案では、コロナウイルスのパンデミックから国内経済の再生を導くための大規模な財政出動が盛り込まれました。
第二次世界大戦以降で最も重要との言われる今回の連邦予算案。いわゆる「勝ち組」と「負け組」を見ていきましょう。
Australian Treasurer Josh Frydenberg listens during a press conference inside the Budget lockup. Source: AAP
「勝ち組」
納税者: 予定されていた所得税減税スケジュールを前倒し、７月１日にさかのぼって適用する方針です。実施には法律の改正が必要です。低中所得者向けの所得税の優遇措置も本年度に単発で実施します。
ジョッシュ・フライデンバーグ蔵相によると、低中所得者は2017-18年度と比べて、シングルで最大$2,745、共稼ぎの家族で最大$5,490、それぞれ恩恵を受けることになります。
初回住宅購入者: 新築住宅の購入支援制度「The First Home Loan Deposit Scheme」の対象がさらに１万人拡大されます。この制度は来年６月30日まで実施され、制度を利用する人は、住宅価格の５％の頭金で住宅を購入することができます。
製造業: 連邦政府が13億オーストラリアドルを投じる成長戦略で、優先順位の高い６つの分野でプロジェクトに投資します。６つの分野とは、食品飲料、資源、医薬品、リサイクル・再生エネルギー、防衛、宇宙です。
老齢年金受給者: これまで４月と７月に$750の支給を受けましたが、今年12月と来年３月にもそれぞれ追加で現金$250が支給されます。
若いJobseeke受給者: 「JobMaker hiring credit」制度を導入し、 現在Jobseekerを受給している16歳～35歳の若者をビジネスが雇用することを支援します。
ビジネスに対して、30歳未満の対象者を雇用する場合には週$200、30～35歳の場合には週$100が支給されます。この制度で雇用された人は、少なくとも週20時間勤務することが必要です。
女性: コロナウイルスのパンデミックを受けて、女性の労働参加と経済的自立を促すための支援パッケージに、２億4,000万オーストラリアドルが投じられます。
このパッケージのうち2,500万オーストラリアドル以上が、科学・技術・工学・数学（STEM）分野での見習い制度（cadetships, apprenticeships）に向けられます。
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メンタルヘルス: メンタルヘルスサービスに対して本年度に追加で１億4,800万オーストラリアドルが投じられ、メディケアでカバーされる心理セッションの上限が、年間10回から20回に引き上げられます。さらに、や、、や、メンタルヘルス「強化クリニック」15カ所に対しても資金が投じられます。
大学: 2020/21年度の大学セクター向け研究資金に、追加で10億オーストラリアドルを拠出します。これとは別に、予算案発表に先立ち、１万2,000人以上の大学の新入生枠を維持するため、３億オーストラリアドル近くの支援が発表されています。
「負け組」
子どものいる移民: 本年度に発給される家族ビザの数は７万7,300人までに制限されます。このうち７万2,300人がパートナービザのカテゴリーとなり、家族や子ども向けのビザの枠は5,000人のみとなっています。
パートナービザの申請者とそのスポンサーはそれぞれ、オーストラリアに移住するにあたり英語のテストに合格することが必要になります。
非技術移民: 連邦政府の試算によると、オーストラリアが国境を開放した後に受け入れる移民のうち、約３分の２が技術移民ビザとなる見通しです。オーストラリア経済の回復を支援するため、技能を持つ優秀な移民を呼び寄せたいとしています。
オフショア移民: 連邦政府はまた、指定された地方部に居住するオンショアのビザ申請者と、スポンサーが主要都市部に住んでいないパートナービザの申請者を優先する方針です。
亡命希望者: 人道ビザプログラムの受け入れ枠は１万3,750人までに制限されています。ピーター・ダットン内相は引き続き、船で違法にオーストラリアに入国した亡命希望者のオーストラリア定住を認めない政策「Operation Sovereign Borders」に取り組む姿勢を示しています。この政策を強化するため、インドネシアにあるオーストラリア当局の地域拠点に対して追加で4,140万オーストラリアドルを拠出します。
国内経済: 財政赤字が過去最大の2,137億オーストラリアドルに膨らみ、国の債務も2024年６月には9,660億オーストラリアドルとピークに達する見通しです。このほかにも、約30年ぶりのリセッション、100年以上ぶりの小ささとなった人口の増加、そして12月に８％に悪化すると予想されている失業率など、オーストラリアはまさに、私たちの人生で二度とないような経済危機に直面しています。
