これにより、オーストラリアでの感染者数は合わせて17人となりました。このうち10人はすでに回復しています。
新型ウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から下船し、特別機でダーウィンに避難したオーストラリア人は170人前後。大半の年齢が60代から70代で、ダーウィン到着後に2週間の隔離生活を送ります。
今回感染が確認されたのは、西オーストラリア州の78歳の男性と南オーストラリア州の24歳の女性です。男性はきょうパースにある病院に移送され、男性の妻が付き添います。到着後妻は自宅で2週間隔離生活を送ります。女性もロイヤルアデレードホスピタルに移送されます。
新型ウイルスに感染した2人の容態は良好だということですが、今後避難者の中でさらなる感染者が確認される可能性があります。
「驚きではない」
避難してきた人はダーウィン到着後、飛行機から収容施設に移動する前の段階で複数回にわたって検査を受けました。しかし、今回感染が確認された2人はこれらの検査を通過しています。
連邦政府のチーフメディカルオフィサー、ブレンダン・マーフィー教授は21日にキャンベラで会見し、「ダイヤモンド・プリンセス号では日々感染者が出ており、避難した人の中に感染者がいたとしても驚きではない」と述べています。
また「今後数日間で(ウイルス)検査で陽性反応を示す人が増える可能性がある」とし、「もしそうなったとしても、万全の体制で対応する」と語りました。
避難した人の中では、ほかに4人がウイルス検査を受けましたが結果は陰性でした。避難前の時点で風邪の症状が出ていた6人はすべて、飛行機の中ではほかの人と隔離されていました。
中国からの入国拒否を延長
連邦政府は、中国湖北省で新型ウイルスの感染者数や死者数が増加を続けていることから、中国本土からの外国人渡航者に対して導入している14日間の入国拒否の実施期間を、1週間延長することを発表しました。
この入国制限により観光客はもちろん、オーストラリアで学ぶ留学生などが大きな影響を受けています。
そのため、連邦政府が留学生を対象に入国制限の緩和を検討しているとの見方が浮上しています。
マーフィー教授は入国制限の緩和について、そのリスクと恩恵を検討するのは連邦政府だとした上で「現時点でのアドバイスとしては、制限を維持し、(延長された)今後7日間でその見直しを行うこと」としています。
連邦政府のスコット・モリソン首相は、入国制限の影響を受けている観光業界や大学などへの補償について、「影響は国全体が受けている」として行わない考えを示しています。