ジェームズ・クック大学の新しい研究では、温室効果ガスの排出が世界のサンゴ礁にもたらす脅威が浮き彫りとなり、残された世界のサンゴ礁を救うには、今行動を起こすべきだとしています。
この研究では、海水温の上昇と海洋酸性化がどのようにサンゴ礁の成長を阻害するかを明らかにし、温室効果ガスの排出による影響を軽減する機会が「わずかしか残されていない」、としています。
またこの研究では、現在のサンゴ礁を維持している多様な生物群集の相互作用が、将来的にサンゴ礁の構造をどのように変化させるかも検証しています。
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研究では、気候変動による温室効果ガスの排出量を、低、中、高の3つのシナリオに分けて計算。その結果、中程度の排出量のシナリオでは、一部のサンゴ礁は海面上昇率に並行して成長する一方で、それは短期間に限られることがわかりました。
また、影響が少ない排出量のケースでも、サンゴ礁の増加率、すなわち成長率が著しく低下することが予測されました。
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研究の共同執筆者であるモーガン・プラチェット教授は、温室効果ガスの排出がもたらす影響を軽減するためには、重要な行動が必要だと述べています。
「気候変動がサンゴ礁にもたらす脅威は、度重なるサンゴの大量白化現象から、すでに明らかになっています。しかし、環境条件の変化は、他にも広範囲にわたる影響を及ぼすでしょう」
「サンゴ礁を救うためには、世界の温室効果ガスの排出量を早急かつ大幅に削減する必要があります」
同僚のスコット・スミザー博士によると、中程度の影響を予測した場合、2100年までに世界中のサンゴ礁が壊滅的なシナリオに直面する可能性があると言います。

ourists snorkel around Upolu Cay on the Great Barrier Reef near Cairns off the Australian north east coast. Source: AP
「中程度のシナリオでは、今世紀末までに世界中のすべてのサンゴ礁が侵食されるでしょう」とスミザー博士は述べています。
「これは明らかに、サンゴ礁やサンゴ島、そしてサンゴ礁に依存する人々や他の生物に深刻な影響を与えるでしょう」
ジェームズ・クック大学による今回の研究では、海洋の温暖化と酸性化について、サンゴ礁の炭酸塩生成への影響を含めた幅広い予測も含まれています。
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海水温度の上昇は、海洋熱波を頻繁化させ、サンゴの大量白化を引き起こしています。また海の温暖化とともに、海洋酸性化が、石灰化するサンゴが炭酸カルシウムの骨格を形成する能力にも影響を与えています。
今回の研究では、世界最大級の海洋で、233ヵ所で測定された183の異なるサンゴ礁のデータを使用しました。
これらのデータは、2050年および2100年の海の温暖化と酸性化に与える影響を、低、中、高の3つの気候変動排出シナリオに基づいてモデル化されました。
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