Key Points
- オーストラリア準備銀行(RBA)は、政策金利を50ベーシスポイント(0.5%)上昇した2.35%へあげました
- RBAは「ここ何ヶ月かは」政策金利が上がり続けると示しています
オーストラリア準備銀行(RBA)は、政策金利を50ベーシスポイント(0.5%)上昇した2.35%へ上げました。
インフレを抑制することを目的としていますが、これで5ヶ月連続で金利が上昇していることになります。
RBAのフィリップ・ロウ総裁によると、RBA委員会はインフレ率を2~3%に後退させることを注力しているとしています。
“今日(6日)の、さらなる政策金利の上昇は、インフレ率を目標水準に戻し、オーストラリア経済の持続可能な需要と供給のバランスを取り戻すのに役立つはずです”
連邦政府ジム・チャーマー蔵相は、この金利上昇は多くの住宅ローン返済者にとって「とても困難な状況になるニュース」になるだろうとしています。
チャーマー蔵相は、6日火曜の国会で次のように話しています。
“これは家計をさらに圧迫させるでしょう。すでに家計を切り詰めている多くのオーストラリア市民にさらにプレッシャーとなるでしょう。”
“0.5%の金利上昇は、平均的な33万ドルの借り入れを行っている債務者にとって、月に95ドル返済額が増えるということです”
“典型的な50万ドル借り入れをしている債務者については、今回の上昇で月に145ドル返済額が増えます。これは選挙前の5月から始まった金利上昇から計算すると、475ドル増えたことになります”
なぜ、これほど金利が急速に上昇するのでしょうか
昨年、ロウ総裁は少なくとも2024年までは上がらないとしていましたが、急進するインフレに対応するため、RBAは5月から金利を上げ続けています。
Motley Fool Australia のチーフ投資アドバイザーの、スコット・フィリップス氏は、金利上昇は歴史的にみて「とてもよくインフレを制す」とSBSニュースに話しました。
“問題はその経過が痛みを伴うということです。そして準備銀行はふたつから選択しなければいけませんでした。どちらも痛みを伴います”
“ひとつめは、インフレ率を高いままにしておき、これに高金利を組み合わせます。効果がでるにはおそらく長い期間がかかるでしょう。ふたつめは、金利を上げ続け、現時点で痛みを起こす、痛みを起こしたいからではなく、過去の経験から効果的だとわかっていることです。そしてこれは、非常に効果的にインフレを抑制します。長期的にみると良い結果となるでしょう”
いつ金利の上昇は止まるのでしょうか?
RBAはすぐには政策金利の上昇を止めないとみられています。RBA委員会は「ここ何ヶ月かは」上がり続けると示しています。
ロウ総裁は次のように説明しています。
“政策金利上昇の規模や時期は、インフレの状況と委員会による労働市場の予測評価のデータによって決まるでしょう”
“インフレは、今年後半にピークを迎え、徐々に目標範囲に後退すると見られています。しかし依然として家計は「重要だが不確実な」状況にあります”
フィリップス氏は、国外ではオーストラリアよりも深刻なインフレを経験しており、RBAはリスク回避のアプローチを続けるだろうと述べました。
“思うに、RBAは先に撃ちつづけ、あとから尋ねるのだろう”
“彼らは、金利を上げ続けると思います。痛みを避けたために将来私達がどうにもできなくなる、という状況を作るより、確実にインフレを抑え込めるためにです”
私にできることは何でしょうか?
不動産・投資会社Entourageのマネージング・ディレクターのダミアン・ロイランス氏は、この金利高を乗り切る一つの手段として、取引銀行に、より良い金利ローンを聞いてみることだと話します。
“新規ローンと既存のローンの金利差が1%高くなる可能性があります。あなたが、より長く同じ銀行と取引した場合、必要以上に高い金利を払っている可能性があります”
ロイランス氏は、貯蓄型商品の金利が大幅にインフレ率を下回っているので、債務者は余剰資金を相殺勘定口座に入れたほうがよいだろうと話します。
これによって、住宅ローンで支払わなければならない全体的な利息が低くなり、より早く返済できるようになる可能性があるからです。
また、ローンの借り換えも別の選択肢となると、ロイランス氏は話します。
“多くの銀行が、低い初期金利とキャッシュバックを、借り換えローンの売り込みとして、新規顧客を獲得しようとしています”
“ですから、同じ銀行と長く取引をしているのであれば、より良い条件で取引できる他の銀行を探す良いチャンスです”
しかし、オーストラリア金融ブローカー協会(of the Finance Brokers Association of Australia)のマネージング・ディレクター、ピーター・ホワイト氏の意見は異なります。
最近の金利上昇によって、より多くの債務者が「借り換えは困難である」ことがわかるだろうし、「住宅ローンの牢獄に閉じ込められる」だろうとしています。
“別の言葉でいうと、新規ローン申込みを審査する際に、利息が高いために必要額を借り入れできない状況となるため、現在どんな利息を支払っていようと現在のローンから借り換えできないのです”
ホワイト氏は、返済額の増加を懸念している債務者は、できるだけ早く住宅ローン・ブローカーに会って、状況を話し合うべきだと話します。
“ブローカーは、借り手の最善の利益のために行動することを法的に定められていますが、銀行はそうではありません”
火木土の夜10時はおやすみ前にSBSの日本語ラジオ!
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