専門家は、「心配することはない」と述べている一方で、ワクチンに対する誤解や噂は少なからず存在します。
ここではワクチンに関する一般的な「うわさ」について、それが真実ではない理由を、感染症のエキスパートの一人である、オーストラリア国立大学のピーター・コリニョン教授が説明します。
うわさ: ワクチンは高齢者には安全ではない
この「うわさ」は、ノルウェーで33人の高齢者がファイザー・バイオンテック社のワクチンの初回投与を受けた数週間後に死亡したことで広まりました。
コリニョン教授によると、ワクチンは微熱を引き起こし、すでに体調を崩している高齢者の場合、合併症を引き起こす可能性がありますが、この層の人々はすでに一般人より死亡率が高いことが指摘できるといいます。
「どのようなワクチンでも、人々は発熱やその他の反応を起こす可能性があります。高齢者や心臓病を持つ方にとっては、心臓に負担をかけることになるかもしれません」
「病気そのものと比較しなければなりません。介護施設で暮らす85歳以上の高齢者は、COVID のような病気にかかったの場合、その死亡率は3割に上ると言われています。ワクチンによる死亡リスクがまれに高まったとしても、ワクチンによる効果は、そのリスクをはるかに上回ります」
先月、ドイツとフランスが65歳未満の人々のみオックスフォード/アストラゼネカ社のワクチンを承認したことを受け、高齢者におけるコロナワクチンの安全性について懸念が広がるようになりました。
しかし、コリニョン教授は、これらの承認の決定は、安全性への懸念からではなく、データ不足が理由だといいます。
「現在のところ18歳から65歳までのデータは十分得られているということであり、65歳以上の人には効果がないというわけではありません。確かめられる十分なデーターがないのです」
うわさ: ワクチン接種により、コロナに感染する
これは「事実上不可能」だとコリニョン教授は述べています。
「ワクチンには『生きたウイルス』が含まれていないため、ワクチンからCOVIDに感染することはほぼ不可能です」
うわさ: 異例の速さでワクチンが開発されたため、効果は期待できない
オーストラリアで間もなく開始されるコロナウイルスワクチンは、これまでで最も速く開発されたワクチンです。
ワクチンは、通常、その製造に何十年もかかりますが、COVID-19によって引き起こされた前例のない死と混乱の中で、科学者たちは12ヶ月足らずで仕事を完了させることができました。
データ収集のプロセスは進行中ですが、これらのワクチンが安全で効果的であることは間違いないとコリニョン教授は述べています。
「たしかに通常以上のスピードで前進していますが、安全性と有効性のデータは十分に収集されており、これまでに得られたデータは良好なものです」
「しかし、データーはまだ必要です。特に80歳以上の年齢層では、より多くのデータが必要とされており、子供の場合は現在データがありません」
うわさ:60-70%の有効性しかないオックスフォード・アストラゼネカ社のワクチンでは、守られない
CSL社がオーストラリア国内で5000万回分の生産を許可しているオックスフォード・アストラゼネカ社のワクチンは、国内のワクチンプログラムの土台となります。
しかし95%の有効性が予備データで示されたファイザー・バイオンテック社のワクチンと比較し、オックスフォード・アストラゼネカ社のワクチンは現在60~70%となっています。
コリニョン教授は、オックスフォード・アストラゼネカ社のワクチンはすべての感染症を防ぐことはできなくても、重症化をほとんど防ぐことができ、またファイザー・バイオンテック社のワクチンと比較しても、その保管や輸送がはるかに簡単であると述べています。
「アストラゼネカ社のワクチンは、ファイザー社のワクチンほどすべての病気を予防するのに優れているわけではありませんが、人々の死や重症化を食い止めるのには非常に優れているようです。私たちが最も心配しているのは、このことだということを忘れてはいけません」
「ですから、人の死を防ぐという点では、60%ではなく、80%、90%の有効性と言えるのではないでしょうか」
英国の最近のデータでは、2回の接種を4週間間隔ではなく12週間間隔で行った場合、ワクチンは実際に62%の有効性ではなく、82%の感染をブロックしたことが示されました。
ワクチンが人々の死を止めることができれば、将来的には感染症についてあまり気にすることはないだろうと、コリニョン教授は述べています。
「COVIDの死亡率はおそらくインフルエンザの5~10倍です。ですから、アストラゼネカのワクチンのように、死亡率を80~90%低下させることができれば、その価値はあります」
「マスクはコミュニティでの感染が多い場合には良いアイデアですが、おそらく15~20%のリスクしか減らさないでしょう。ですのでリスクを60~90%も減少させるワクチンがあるのであれば、それを使わないのは馬鹿げている」と彼は述べています。
うわさ: COVID-19に感染したら、ワクチンは不要
これは完全に間違っているわけではありません。
COVID-19の感染に打ち勝った場合、免疫システムに、将来の感染から守るために必要な抗体(ワクチンによって与えられる同じ抗体)ができるのは事実です。
しかし、これらの抗体がどのくらいの期間持続するのかはまだ明らかになっていません。
コリニョン教授によると、これまでのデータでは、少なくとも1年とされているものの、ワクチンを接種することで、それを延長することができるといいます。
「PCR検査で陽性が確認されているのであれば、ワクチン接種の最前列に並ぶ必要はないかもしれません」
「しかし、今のところ、再接種を受けることで何か害があるという証拠はありませんし、理論的には、数年ごとにブースター注射が必要な場合は、その保護が長く続くと言えます」
うわさ: ワクチンは将来の妊娠に影響を与える
現在使用されているコロナウイルスワクチンや開発中のコロナウイルスワクチンが将来の妊娠に影響を与えるという証拠はありません。
ほとんどの国で妊婦のワクチン接種が推奨されていないことによってこの「うわさ」は広まっているとみられますが、それは妊婦を対象にしたワクチンの試験が行われていないからで、決して珍しいことではありません。
歴史上、ほとんどのワクチン試験は妊婦を対象にしていません。
ワクチン接種後の妊娠に関するデータは、数年後には入手可能となりますが、「驚くような結果は期待していない」とコリニョン教授は述べています。
「ワクチンが将来的に妊娠する能力を低下させるような理由は見当たりません」
「実際には、低酸素レベルや腎臓の問題を抱えている人たちはCOVID-19にかかることによって、妊娠への影響が高まると思います」
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オーストラリアでは、他人から1.5メートル以上離れていなければなりません。お住まいの州における集まりの人数制限をご確認ください。風邪やインフルエンザの症状が出ている場合は、家に留まり、医師に電話して検査を手配するか、1800 020 080のコロナウイルス健康情報ホットラインに連絡しましょう。
お住まいのテリトリーのガイドラインをご確認ください: , , , , , , , .
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