2023/2024年度連邦予算案「勝ち組」と「負け組」

新年度の連邦予算案で得する人、損する人は以下の通りです。

Here are the winners and losers from Tuesday's budget.

キーポイント

• ジム・チャルマーズ蔵相が火曜日、連邦予算案を発表
• 労働党が掲げた2023/20204年度予算の最優先事項は生活費の救済
• 予算には、賃借人、高齢者介護従事者、ジョブシーカー受給者への支援も含まれる

2023/2024年度の連邦予算案が9日夜、発表されました。

アルバニージー政権にとっては2度目となる予算案。インフレによる物価高を背景にした今回の予算案は、生活費の救済が最優先事項となり、146億ドルが生活費削減策のため投じられます。

今回の発表により、シングルペアレントは今後さらなる支援を受けられるほか、一部の人は無料でGP（かかりつけ医）の診断を受けられるようになるほか、家賃の値下がりなどの恩恵を受けることになります。

一方、ビザ費用は増加し、オーストラリアの超富裕層は依然として大幅な減税を受けることになっています。

では2023/2024年度の連邦予算案を「勝ち組」と「負け組」に分けて見てみましょう。

議論あり？

生活保護受給者

労働党は生活費の危機に対する反発を受けたものの、労働者や学生への各種支援額は小幅に増額。9月下旬から週20ドル（1日あたり2.86ドル）の引き上げを受けるのは以下の人たちです：

• JobSeeker 
• Youth Allowance 
• The Partnered Parents Payment 
• Austudy 
• ABSTUDY 
• The Youth Disability Support Pension  
• The Special Benefit Payment

一方、特にホームレスや貧困の影響を受けやすい55歳以上の女性には、より大きな支援が発表。2週間ごとに92.10ドルが追加で支給されることになります。

しかし、この救済措置は、オーストラリア社会サービス協議会が要求してきた週給476ドルを大きく下回るものです。

There are many groups who will get more as JobSeeker payments are increased. Source: SBS

賃借人

家賃の高騰に悩む低所得者層は、ささやかな救済を受けることになります。

Commonwealth Rent Assistanceの支給額は15％増額し、子供のいない単身者は毎週最大90.39ドル、つまり週当たり11.79ドルの追加支給を受けられることになります。

またファミリータックスベネフィットを受けている3人の子供を持つカップルは、さらに年間800ドル、つまり週15ドル程度を受け取ることになります。

小規模薬局オーナー

患者は今後1回の処方箋の値段で2ヶ月分の薬を注文できるようになります。

しかし薬局ロビーは、この変更により多くの中小企業が閉鎖に追い込まれると怒りを主張しており、マーク・バトラー保健相もこの変更に困難を感じる人がいることを認めています。

しかし、約600万人の患者は、薬代が半額になり、薬局に行く回数が減るので、「勝ち組」となります。

「勝ち組」

16歳未満と高齢なGP患者

より多くのオーストラリア国民が、より簡単に、より安く医者にかかることができるようになります。

16歳未満の人や年金受給者、その他のコンセッションカード保有者は、最も一般的なタイプのGP受診のためのバルクビリングが3倍になります。

これにより、1100万人以上の人々が無料で医者にかかることができるようになります。

またこれには20分以内のテリヘルス（遠隔医療診療）も含まれます。

The single parent payment will continue until a child is 14-years-old, rather than eight.

シングルペアレント

ひとり親世帯への支援は、子供が8歳から14歳まで継続されました。

これにより、約5万7,000人の親が、ジョブシーカーよりも高いレートでさらに6年間、2週間ごとに176.90ドルの追加支給を受けられることになります。

ホームオーナー

家にソーラーパネルや二重ガラスの窓をつけるのが、今後安くなるかもしれません。

労働党は13億ドルの資金を投じ、エネルギー効率を高めるために家を改築する人たちに低コストのローンを提供する予定です。

このうち3億ドルは、社会住宅の改修に割り当てられ、労働党は約6万戸のエネルギーコストを削減できると主張しています。

政府は、住宅のエネルギー効率評価を1つ星から3つ星にアップグレードすることで、請求額を約3分の1に削減できると見積もっています。

家族・性暴力対策サービス

州やテリトリーとの国家的パートナーシップにより、プレッシャーのかかるフロントライン・サービスには2年間で1億5900万ドルが追加されます。

家庭内暴力から逃れる女性への試行的な支払いは2025年初頭まで延長され、その他の資金は家庭裁判所システム、緊急宿泊サービス、早期介入業務に充てられる予定です。

また全国的な加害者データベースの構築が始まる予定ですが、どのようなものになるかは明らかになっていません。

さらには性暴力事件を扱う法制度も、4年間で650万ドルが投入され、見直しが行われます。

Prime Minister Anthony Albanese and Treasurer Jim Chalmers have delivered their second budget. Source: AAP / Mick Tsikas

オーストラリアの富裕層

労働党は、10年間で2,000億ドル以上かかるとされる所得税減税策第３弾をそのままにしたため、オーストラリアの富裕層は依然として恩恵を受けることになります。

前保守連合政権が導入し、労働党が支持したこの減税は、生活費の圧迫に苦しむ低所得者層との間で争点となっていました。

しかし火曜日の予算発表では、この減税についての言及はありませんでした。チャルマーズ蔵相は、予算編成に向けた主要な論点ではなかったと述べています。

Andrew Forrest could be one of the big winners from the budget.

ツイッギー・フォレスト

再生可能エネルギーに40億ドルが投じられることで、鉱山王と言われるツイッギー・フォレスト（アンドリュー・フォレスト）が大きな恩恵を受けることとなりそうです。

政府は、化石燃料からの脱却を推進するため、グリーン水素に20億ドルを投じることを発表。予算書では、アメリカなどの海外市場と競争するために必要な動きであるとしています。

これは、バイデン政権のインフレ抑制法に対するオーストラリアの回答であり、新しい水素ヘッドスタートプログラムを立ち上げることになります。

オーストラリアにおける主要な水素推進者の一人であるフォレスト氏は、以前からオーストラリアがグリーン水素の分野で「乗り遅れる」危険性があると警告していました。

「負け組」

ビザ申請者

ビザの申請費用が高くなりそうです。

太平洋諸島からの申請者を除き、すべての申請費用が7月から少なくとも6％ポイント上昇することになります。

Visa application costs are set to rise.

つまり、観光ビザは40ドル増の190ドルに、バックパッカービザは130ドル増の640ドルに、学生は65ドル増の715ドルになります。

また、ビジネス・イノベーションと投資ビザについては、40％ポイント上昇する予定です。

政府はこの変更により、毎年1億ドル以上の資金を調達し、ビザ処理システムの改善資金に充てると述べています。

高スーパーアニュエーション残高

スーパーアニュエーションの残高は今後高率で課税されます。

スーパーアニュエーションファンドにある資金は15％の税率（退職年金口座にある場合は0％）と、手厚い優遇措置が取られていますが、労働党は2025年半ばから、300万ドルを超える金額については30％に引き上げる予定です。

しかし最高税率である45％に比べれば、減税に等しいと言えます。

多国籍企業 

オーストラリアで活動する国際企業の「抜け穴」も閉鎖されます。

2024年1月1日以降、国際的な大企業は15％の最低税率を支払うことになります。

海外でより低い税率を見つけることに成功した企業は、国内では15パーセントまで課税されることになります（例えば、他国で13パーセントを支払っている場合、国内では2パーセントの追加課税となります）。

Vapers and cigarette smokers will face major changes.

たばこ・VAPE関連企業

ニコチン製品は、より高価になるか、魅力がなくなるか、あるいは違法となります。

予算には、タバコへの5％の増税が含まれており、1箱の平均価格はおよそ50ドルとなります。この措置により、30億ドル以上の歳入が見込まれます。

また、処方箋のない使い捨てのベイプはすべて禁止され、医療用に処方されるベイプはすべて無香料で医薬品のようなパッケージングになります。

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