バス事故で見直されるシートベルトの法律

公共バスにはシートベルトがありませんが、シートベルトを装備したバスにはどのようなルールがあるのでしょうか。

A man pulls a seatbelt across his lap and plugs it in.

Seatbelt laws are in the spotlight following a deadly bus crash in NSW's Hunter Valley. Source: AAP / Haydn West/PA/Alamy

Key Points
  • NSW州のクリス・ミンズ州首相は、バスにシートベルトが装備されている場合は、必ず着用しなければならないと強調
  • NSW州のバス運転手は、乗客にシートベルトを着用するよう伝える責任がある
  • VIC州のダニエル・アンドリュース首相はバスにおけるシートベルト着用義務を検討
10人の死者と複数の負傷者を出したニューサウスウェールズ州ハンター・バレーのバス事故を受け、シートベルトの法律が注目されています。

警察は、今回事故を起こしたバスにはシートベルトが装備されていたことを確認していますが、事故はまだ調査中であるため、乗客がシートベルトを実際に着用していたかどうかについてはコメントしていません。
NSW Premier Chris Minns speaking to the media.
NSW Premier Chris Minns addresses media near the scene of a fatal bus crash in Greta. Source: AAP / Darren Pateman
ニューサウスウェールズ州のクリス・ミンズ州首相は、警察が今後バスの安全性を高めるため、シートベルトをめぐる法律の変更を勧告した場合、政府は「行動を起こす」としています。

「ニューサウスウェールズ州では、バスや長距離バス(コーチ)にシートベルトが装備されているのであれば、それを着用する法的責任があります」

「これはニューサウスウェールズ州の人々への明確なメッセージとなる必要があります」。

NSW州におけるシートベルトの法律

ミンズ州首相が述べているように、バスにシートベルトが装備されている場合、法律上シートベルトの着用が義務付けられていますが、通常の公共交通機関の路線バスにはシートベルトは装備されていません。
つまり、これらのバスがプライベートチャーターとして利用される場合、シートベルトはありませんが、長距離バス(コーチ)のようなバスには一般的にシートベルトがあると、シドニー大学の交通・物流管理のジェフリー・クリフトン博士はSBSニュースに語っています。

「運転手は乗客にシートベルトを着用するよう伝える法的責任があり、時にはビデオを見せることもありますが、乗客に着用を強制する必要はありません」

「バス会社も、乗客の安全とシートベルトがきちんと機能しているかどうかを確認する責任があります。シートベルトを着用するよう運転手に指示する必要もあります」

しかし、取り締まりはニューサウスウェールズ州警察に委ねられています。

クリフトン博士は、シートベルトの安全性が見直されることは想像に難くないとする一方で、バスは安全性の高い交通手段であり、事故はまれであることを強調することも重要であると述べています。
ニューサウスウェールズ州交通労働組合のリチャード・オルセン州書記は声明で、連邦議会は交通機関において強制力のある基準を設定するための規制について投票を求められるとし、「この改革を躊躇なく可決するよう強く求める」と発表しています。

「運転手、乗客、そしてより広いコミュニティーの安全を優先することの重要性は急務であり、この悲惨な事件は、道路における安全対策の強化が決定的に必要であることを強調しています」

「このような事故を防ぎ、地域住民の命を守るために、私たちは一丸となって取り組まなければなりません」。

2022年3月、ニューサウスウェールズ州政府は、農村部の道路の安全性に対する保護者からの懸念を受けて、2億3700万ドルのNSW農村・地域バスシートベルトプログラムの一環として、州内の農村・地域バス契約専用スクールバスすべてにシートベルトが装備されたと発表しました。

VIC州におけるシートベルトの法律

ビクトリア州のダニアル・アンドリュース州首相は、5月にエイズベリーでエックスフォード小学校の児童46人を乗せたバスがトラックに衝突したことを受け、バスへのシートベルト義務付けを検討すると述べていました。

ビクトリア州の法律では、バスやコーチは、フロントガラスに直接面した座席でない限り、シートベルトの着用は義務付けられていません。

しかし、スクールバスを含め、シートベルトが装備されている場合は着用する必要があります。
2013年より、地方・農村部のすべてのスクールバスにシートベルトが装備されるようになりました。

1,100台以上の専用スクールバスにシートベルトが装備されており、2024年末までにはすべてのスクールバスに装備される予定です。

VIC州で発生したバスの事故現場に駆けつけた人の証言によると、事故にあった小学生の中には、救助の際、まだシートベルトを着用していた児童もいたと言います。

アンドリュース州首相は、シートベルトを着用する責任はバスの乗客にあり、運転手に責任を転嫁することは、現実的な問題につながる可能性があるとの考えを示しています。

他州におけるシートベルトの法律

クイーンズランド州では、バスにシートベルトが装備されている場合、乗客はシートベルトを着用することが義務付けられていますが、乗客がシートベルトを着用しなかったことで、バス運転手がクイーンズランド州の道路交通規則違反になることはありません。

西オーストラリア州では、すべてのスクールバスでシートベルトの着用が義務付けられており、着用しなければなりません。南オーストラリア州では、同様の政策を実施する計画が提出されていますが、現在、バス運転手は16歳未満の乗客に対するシートベルト着用を保証することを免除されています。

ノーザンテリトリーやACTでも、バスにシートベルトがある場合は着用が義務付けられています。

タスマニア州では、TasBusが20年かけてスクールバスにシートベルトを義務付けるよう働きかけてきましたが、現在は義務化されていません。

With additional reporting by AAP.


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Published 13 June 2023 3:38pm
By Madeleine Wedesweiler
Presented by Yumi Oba
Source: SBS


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