12月22日に緊急に開催されたナショナル・キャビネットでは、連邦政府によるマスク着用義務について検討されなかった一方で、スコット・モリソン首相は、オミクロン株により病院のシステムが「試されることになるだろう」と認め、警告しました。
会合後に記者会見を行ったモリソン首相は報道陣に対して、国の医療システムはCOVID-19感染者増加に対応するため十分な設備が整っているとするものの、ウイルスの拡大が続いているため病院は今後数週間で「難題に直面することになるだろう」と語りました。
モリソン首相は、医療専門家パネルが屋内におけるフェイスマスクの着用について、それが義務であるかにかかわらず、「強く推奨する」と述べていることを明かしました。
「オーストラリア人は常識人であり、自分の健康を守るために何をすべきかを知っています。ですから、私たちがCOVIDで行ってきた通常のことすべてとともに、これも強くお勧めします」
「義務化されようがされまいが、私たちはそうすべきなのです」
「同じように、夏の季節になると、人々は帽子をかぶり、日焼け止めを塗るようになります。これに関する規則や要件はありませんが、強く推奨される健康上のアドバイスです」とし、国民に対して、常識ある行動を求めました。
首相は、今後数週間で国の医療制度が「試される」ことになると述べています。
「患者数の急増にもかかわらず、病院や医療システムは依然として強固な状態にありますが、もちろん、試されることになるでしょう」と記者団に語りました。
「我々はオミクロンに対して十分な備えをしています。協調的に、そして非常に真剣に取り組む以外の何ものでもありません」
またモリソン首相は、クリスマスシーズンを前に、旅行前に陰性の検査結果を必要とする人々がCOVID-19検査クリニックに殺到していることに懸念を示しました。
首相は、無症状の人々が公衆衛生システムに「不必要な圧力」を与えているとし、今後2週間以内に、州をまたがる旅行者に迅速抗原検査で陰性を返せば十分か、あるいは検査を返送する必要があるかについて助言する予定です。
「PCR検査は、濃厚接触者や症状のある人に焦点を当てることが重要で、飛行機に乗りたいだけの人と一緒に行列に並ぶようなことは避けなければなりません」
「オミクロンは、今後、個人の自己管理、自己規制のための役割をより多く担う必要があります」
またオーストラリアの予防接種専門家パネルATAGIは、ブースター接種について、接種間隔を変更しないと確認。これにより、オーストラリア人が3回目の接種を受けるには、これまで通り、2回目の接種から少なくとも5ヵ月待つ必要があります。
西オーストラリア州政府は、2回のワクチン接種が義務付けられていた労働者に対して、ブースターも同じく義務付けすることを発表しました。
マーク・マックゴーワン州首相は「世界で、そしてオーストラリアの東海岸でオミクロンが発生したことは、極めて懸念すべきことです。患者数は急増し、入院者数も増加している」とし、「2月5日の州境規制緩和に向けて、ワクチン接種が最大の防御策となる」と述べました。
またQRコードチェックインについては、ニューサウスウェールズ州やビクトリア州などCOVID-19の患者数が多い州では、接触者追跡の仕組みとして使われなくなりますが、国内の他の感染率の低い地域には活用できるとモリソン首相は述べています。
モリソン首相は感染率の高い地域でQRコードに頼るのは「現実的な提案ではない」としながらも、人々の行動や検査の必要性を「自己規制」するために有益なものになると述べています。
また医療専門家パネルは、濃厚接触者とカジュアルコンタクトの定義、さらには検査や隔離に必要な手順について、全国的に統一した勧告を行う予定です。
「濃厚接触者とカジュアルコンタクトについて、異なる規則や規制を設けることはできません」
今後数週間以内に再開されるナショナルキャビネットで、政府に対して調査結果を提出する予定です。
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