生産性委員会は、先住民の芸術と工芸品に関する最終報告書の中で、アボリジナルとトレス海峡諸島民の芸術と文化の不正利用を阻止するための新しい法律の制定を呼びかけています。
アボリジナルおよびトレス海峡諸島民の芸術と工芸品の市場全体は、土産品を含めて2億5000万ドル以上の価値があり、また先住民スタイルの土産品市場は8000万ドルの価値があることがわかりました。
一方で、3つの商品のうち2つは偽物で、先住民とは何の関係もないことも報告書で明らかになりました。
2019-20年には、そのうちの最大5400万ドルが偽物の土産品に費やされていました。
生産性委員会のロムリー・モカク委員は、「本物でない先住民スタイルの製品は消費者を惑わせ、アボリジナルやトレス海峡諸島民のアーティストから収入を奪い、文化を軽視している」と訴えています。
報告書では、偽物の芸術が、神聖なシンボルや物語を悪用し、伝統的なルールを損なうことで、害と不快感をもたらすと述べています。

Currently two in every three Indigenous souvenirs is inauthentic. Source: Getty / Getty Images
リンダ・バーニー先住オーストラリア人担当相は、この状況を変える必要があるとし、連邦政府は「勧告を慎重に検討する」とバーニー氏は述べています。

Aboriginal artist Leroy Platt paints at the Arts Centre in Lockhart River, an Aboriginal community in far-north Queensland. Credit: Dave Hunt/AAP Image
委員会は、先住民の製品がアボリジナルでもトレス海峡諸島民でもない人々によって作られた場合、情報公開を義務付けることを求めています。
報告書ではこのような対応をとることにより、購入者もより本物志向となり、偽物のアボリジナル・アートを禁止するよりも効果的であると指摘しています。
またこのような新たな法律は、伝統的所有者の文化財が許可なく美術品や工芸品に使用された場合、伝統的所有者に法的救済を与えることにもなります。
委員会は、悪質な行為の例を挙げ、アート業界と取引するクリエイターへのより良いサポートを提供するよう提言しています。
また、アボリジナルおよびトレス海峡諸島民のコミュニティが望むところに政府の資金が向けられていることを確認するための見直しも求めています。
報告書では、アートセンター、組織、サポートサービスが業界にとって重要であるにもかかわらず、アボリジナルおよびトレス海峡諸島民は管理職や指導的立場にある人が少ないと指摘しています。

Local artist Nita Yunkaporta (70) paints at the the Arts center in Aurukun, far North Queensland, Cape York. Source: AAP / JONO SEARLE/AAPIMAGE
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