ニューサウスウェールズ(NSW)州政府のジョン・バリラロ副首相(NSW国民党代表)が、コアラの生息地の保護について連立を組む自由党の政策に合意できないとして、政権を脱退する方針を示していたことをめぐり、バリラロ副首相とグラディス・ベレジクリアン州首相が11日に和解し、NSW州の保守連合政権は維持されました。
保守連合政権を形成する自由党と国民党は今後、コアラの生息地保護政策についてさらなる協議を行うことで合意しました。
ベレジクリアン首相は10日、バリラロ副首相と国民党の閣僚に対し、11日の午前9時までにベレジクリアン政権を支持するのかどうかの判断を下すよう迫り、政権を支持しない場合は閣僚職を解くとの最後通牒を突きつけていました。
突然の「反乱」
対立が深まったきっかけは、バリラロ副首相が、保守連合政権が可決を目指すコアラの生息地保護政策の改正をめぐり、国民党は改正に反対であり、法案の議決に票を投じないとの方針を突如発表したことにあります。ベレジクリアン首相にとって寝耳に水の出来事でした。
11日発表の共同声明では、NSW州の自由党と国民党が今後も保守連合を維持することを確認し、両党で意見が対立している問題については、今後の閣議で話し合うとしています。
バリラロ副首相は10日午前、提案されているコアラの生息地保護政策の改正は「誤り」であり、土地の所有者や農家を傷つけることになるとして反対する姿勢を示し、国民党議員が議決に票を投じない方針を示していました。
国民党がコアラの生息地保護政策の改正で反対しているのは、改正により森林の多くがコアラの生息地と分類されることで開墾が難しくなり、土地の使用や、開発を目的とした再区画(リゾーン)が制限されるという点です。

NSW deputy premier and state Nationals leader John Barilaro. Source: AAP
NSW州下院議員の政党別の内訳は、国民党が13人、自由党が35人、そして最大野党の労働党が36人となっています。また上院議員では国民党が6人、自由党が11人、労働党が14人となっています。
野党のNSW州労働党のジョディ・マッカイ代表は11日、保守連合政権に対する不信任動議を来週議会に提出する方針で、バリラロ副首相の辞任を求めています。
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Additional reporting by AAP.