ニューサウスウェールズ州の青少年支援団体が発表した新たな報告書により、LGBTQIの生徒が学校で直面する問題の一部が明らかになりました。
報告書は州内にあるすべての学校に対して男女共用トイレを設置し、性教育の授業で多様なジェンダーやセクシュアリティに言及すべきである、と勧告。
また同団体は、独立系学校やカトリック系学校を含むすべての教師が、LGBTQIのインクルージョン・トレーニングを受けるよう呼びかけています。
火曜日に発表された報告書は、クィアの若者を対象とした調査で、教育、仕事、医療現場において差別や困難を感じる事例が多数発見されたことを受けてのものです。
中には自身が呼ばれたい名前(preferred name)、または使用してほしいジェンダー代名詞(pronoun)を学校に申し出た際、親の承認が必要と、セクシュアリティについて暴露されたというケースもあります。
またあるカトリックの学校では、仲間の生徒からセクシュアリティについて校長に暴露されたため、ターム1で退学になったというケースも報告されています。
ある若者は、自身のセクシュアリティやジェンダーが、「政治的なもの」ではなく、「一人の人間として扱われること」を望むと述べています。
この報告書は、ニューサウスウェールズ州の若者の約18.5%がLGBTQIであると認識しているという調査結果をもとに作成されました。
これらの若者は、自分の人生全体についてどう感じているか、また「最近」の人生についてどう感じているかについて、肯定的な評価をする割合が統計的に少なかったことも明らかになりました。
報告書では「学校内に男女共用トイレを設置する」というものを含め、14の提言がなされました。
男女共用のトイレを設置することで、トランスや多様な性別を持つ生徒が、適切なトイレを使用するため、教員にわざわざカミングアウトするという事態を避けることができると言います。
その一方で、生徒はこれまで通り男女別のトイレを利用することも可能であるべきとしています。
また報告書は、NSWヘルスがLGBTQIヘルスウェブページで一般向けの情報を増やすなどの措置をとるよう勧告しています。
ニューサウスウェールズ州の子ども・若者擁護者のゾーイ・ロビンソン氏は、州内では進展が見られる一方で、「まだ達成すべきことがたくさんある」と指摘しています。
「この報告書には、一部の若者が経験した暴力について書かれた、衝撃的な調査結果もあります」。
「若者の安全は政治を超えた権利であり、若者が生活し、働き、学び、遊ぶすべての場所で施行されなければならないものです」。
無所属のアレックス・グリーンウィッチ議員は、この報告書は、多くのLGBTQIの若者が、コミュニティーの中で安全でなく、歓迎されていないと感じ続けていることを浮き彫りにしており、「胸が張り裂けそう」と表現しました。
この報告書は、3月の州議会選挙で誰が勝利しても、彼らの安全と幸福が法律で保護されるようにするための行動を呼びかけるものである、とグリーンウィッチ議員は述べています。
「LGBTIQA+コミュニティは、長年にわたって多くのことを達成してきましたが、政府が歩み寄り、差別や偏見をなくすことが必要です」。
火木土の夜10時はおやすみ前にSBSの日本語ラジオ!
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