QLD州 強制コントロールの犯罪化へ前進

クイーンズランド州政府は、家庭内暴力や家族内暴力から被害者をより保護するための「歴史的かつ広範な改革」とともに、この法案を発表しました。

Mourners hug at a makeshift shrine near the scene of the car fire that killed Hannah Clarke and her three children

Mourners hug at a makeshift shrine near the scene of the car fire that killed Hannah Clarke and her three children Source: AAP

この記事にはDVに関する言及が含まれています。

クイーンズランド州政府が、2023年末までに強制コントロールを犯罪化する新しい法律を導入する計画を発表。

ドメスティック・バイオレンス(DV)の被害者を支援する団体は、「大きな前進」であると発表を歓迎しました。

この法律は、家庭内暴力や家族内暴力から被害者をより保護し、加害者の責任を追及するために作られた法律の「歴史的かつ広範な改革」の一部として導入されます。

クイーンズランド州では、2020年にハナ・クラークさんと3人の子どもたちが元パートナーに殺害されて以来、強制コントロールの犯罪化について議論されてきました。
Inquest hears of Hannah Clarke's 'amazing strength', pleas to save her children before their deaths
Inquest hears of Hannah Clarke's 'amazing strength', pleas to save her children before their deaths Source: Supplied by Sue and Lloyd Clarke
クラークさんの死後、DVを食い止めることを使命とし、財団「Small Steps 4 Hannah」を設立した両親のスーさんとロイドさんは、今回の発表を歓迎し、他の州やテリトリーも同じ道を進むことを望むとしました。

ロイドさんは会見で、強制コントロールの犯罪化は、「ずっと求めてきた」と述べ、「とても感慨深い日。このためにSmall Steps 4 Hannahを結成した」と語りました。

またこの法案では、子どもたちの教育にも資金が投じられることも盛り込まれており、ロッドさんは強制コントロールに対する認知が高まることを期待し、「大変うれしい」と述べました。
また、夫妻は加害者プログラムの追加も歓迎し、加害者が自分の行為を認識し、考えを改めるきっかけになればと、その思いを語りました。

「加害者の多くは、自分が何をしているのか、犯罪を犯していることさえ理解していないのです」と説明するスーさん。

「早い段階で手を打てば、誰もが助かる、あるいは止められると思いたいのです」

家庭内暴力防止協議会の共同議長であり、アリソン・バーデン・クレイ財団の会長でもあるヴァネッサ・ファウラー氏は、この発表を「大きな前進」と表現しました。

ファウラーさんの妹アリソン・バーデン・クレイさんは、2014年に夫のジェラルド・バーデン・クレイに殺害されました。

「家庭内暴力や家族内暴力は、身体的なものだけではありません。何年も何年も続く行動パターンであり、多くの場合、その最後の物理的な暴力行為が致命的なものとなるのです」

「私は、政府がイニシアティブを取り、女性、子供、男性、社会にとってより安全で平等な未来へとクイーンズランド州を前進させたことに祝意を表します」
3億6300万ドルの改革パッケージには、強制コントロールを認識し、防止するための新しい法律やプログラム、家庭内暴力や家族内暴力に対する警察の対応に関する調査委員会、家庭内・家族内暴力(DFV)専門裁判所の拡大が含まれます。

また、ファースト・ネーションのコミュニティーに対する特別な戦略として、加害者の行動を変え、暴力の連鎖を止めるための加害者プログラムへの資金援助も行われる予定です。

このパッケージには、被害者が警察とDFVサービスからの共同対応を受けられるようにするための高リスクチームと共同対応モデルの拡大、クイーンズランド州のすべての子どもと若者に対する「尊敬に満ちた人間関係の教育」の強化も含まれます。

政府は、この改革は、昨年12月にマーガレット・マクマード裁判官の「女性の安全と正義のタスクフォース」が出した最初の報告書「Hear Her Voice」の結果であると述べています。

タスクフォースは、家庭内・家族内暴力の経験を持つ女性や少女から700以上の提出を受けており、政府はタスクフォースによる89の勧告をすべて実施すると述べています。
強制コントールは、全国でも特にクイーンズランド州で多く見られています。

これには、パートナーを家族や友人から隔離する、行動を監視する、資金へのアクセスを制限する、心理的・感情的な操作をするなどが含まれます。

ウーマンズ・リーガル・サービス・クイーンズランドで、法改革とアドボカシーを担当する、ジュリー・サルコジ氏は、政府が報告書の勧告をすべて採用したことを賞賛。

改革を成功させるためには、「教育と訓練が鍵になる」だろうと述べました。

「優先すべき分野は、警察の対応と、『家庭内暴力とは何か』ということの理解を深めることだと思います」

「事件ベースではなく、暴力のみでもなく、人間関係における力学、特に人間関係におけるパワー・ダイナミクスをもっと広く理解することです。これには、コミュニティーとシステムがより良くなる必要があり、本当に緊急の課題なのです」
あなたやあなたの知り合いが家族や家庭内暴力の影響を受けている場合は、1800RESPECT(電話番号:1800 737 732)に電話するか、にアクセスしてください。緊急の場合は、000に電話してください。

Men's Referral Serviceは、ドメスティック・バイオレンスに関する男性のためのアドバイスを提供しており、1300 766 491に連絡することができます。

 

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Published

Presented by Yumi Oba
Source: SBS, AAP

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