オーストラリアの先住民族を認知するため、オーストラリア・デーに1分間の黙とうをささげるという独立系議員ザリ・ステッガル氏の提案を、アレックス・ホーク移民相が却下したことがわかりました。
ステッガル議員は、シドニーの選挙区の市長に手紙を出し、英国統治時代以来、オーストラリアの先住民が直面してきた「差別と苦難」を認知するために黙とうの時間を設けることを検討するよう求めていました。
オーストラリア・デーは、1788年にイギリス船団が最初にポート・ジャクソンに入港した記念日でありますが、近年この日を「Invasion day(侵略の日)」と呼ぼうとする動きが活発化しています。
ホーク移民相は、ステッガル氏の提案は「歴史に否定的な政治をするもの」とし、「考え抜かれたものではない」と批判しました。
「ワリンガの議員の提案は、私たちの歴史を否定的な政治に利用し、オーストラリアの先住民と非先住民の分裂を永続させるだけであり、失望している」と声明で述べました。
「オーストラリア・デーは、良いことも悪いことも含めて、私たちが共有してきた歴史のおかげで、私たちを一つにしてくれています」
「歴史の失敗にかかわらず、オーストラリアは今日、最も自由で、平等主義的で、安全で、多様性に富んだ社会の一つとなりました」
ホーク氏は昨年12月の内閣改造で移民・市民権・多文化担当相に就任。

Immigration Minister Alex Hawke. Source: AAP
ワリンガの議員で、元冬季オリンピック選手でもあるステッガル氏は以前、オーストラリア先住民の認知は和解に向けた力強い一歩になるだろうと述べていました。
「1月26日はコミュニティの人々にさまざまな感情を呼び起こします。ヨーロッパ人による植民地化の始まりと同時に、先住民族が暴力を受け、力を奪われ、移住を余儀なくされた日の始まりでもあります。それは何世紀にも渡って続き、悲しみや差別、苦難を生み出してきました」
「この日が象徴するすべてのことを認知し、オーストラリアの先住民がこれまでに犠牲にしてきたことを認知し、追悼の念を組み込むことは当然のことです」
ステッガル氏は、ノースシドニー、モスマン、ノーザン・ビーチズの各議会の市長とともに、オーストラリア地方自治体協会に手紙を出していました。

زالی استیگل، نماینده حوزه وارینگه در مجلس نمایندگان Source: AAP
スコット・モリソン首相は年始に、オーストラリアの歴史におけるファースト・ネーションズの人々の貢献をより良く反映させるために、国歌の一部を「We are young and free(我々は若く自由である)」から「We are one and free(我々は一つで自由である)」に変更することを発表しました。
この変更についてはさまざまな反応が寄せられており、オーストラリア先住民族が直面する不平等を減らすために、より実質的な行動を求める声もあります。
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