KEY POINTS
- ヒアリがQLD州南東部からNSW州に広がる可能性が懸念されています
- 先週、NSW州との州境からわずか5.5Kmのところで巣が発見され、巣は破壊されました
- ヒアリは非常に攻撃的で、動物にも人間にも致命的なダメージを与える可能性があります
強い毒を持ち、刺されると激しい痛みをもたらし、ときにはアナフィラキシー反応を引き起こすことで知られる「ヒアリ(Fire ant)」。
オーストラリアには2001年頃、南米から輸入されたコンテナや貨物などに付着して侵入したとされていますが、これまで数億ドルをかけた撲滅プログラムにより、クイーンズランド州南東部の2つのゾーンにヒアリを封じ込め、拡大を防いできました。
しかし、ここ数週間、ヒアリがこのゾーンを突破していることが度々確認されています。
最近では、ニューサウスウェールズ州との州境からわずか5.5kmのタレブジェラのポニー・クラブで発生が確認されたと、外来種対策協議会が発表。同カウンシルは、在来の動植物を外来種から守るために活動している非政府組織です。
巣は破壊され、バイオセキュリティ管理命令により、ヒアリをニューサウスウェールズ州に運ぶ可能性のある物質の移動は禁止さました。

Imported red fire ants have a venomous sting and are highly aggressive.
またニューサウスウェールズ州のタラ・モリアーティ農相は23日、州北部の住民や企業はヒアリの兆候に注意し、目撃情報を報告することが重要であると述べました。
「ヒアリは2001年にブリスベン港で発見されて以来、ニューサウスウェールズ州との州境に最も近い場所で発見されました。最近では州境から11.5km北に位置するクイーンズランド州のマーメイド・ウォーターズでも発見されています」。
「この侵略的で攻撃的な害虫が定着すれば、私たちの生活に大きな影響を与え、輸出市場や貿易能力にも影響を与えかねません」
外来種対策協議会のスポークスマンであるリース・ピアンタ氏は、21日に発表した声明の中で、ヒアリがオーストラリア全土に広がることは、「ウサギ、オオヒキガエル、キツネ、野良猫の合計よりも深刻」であると警告しました。
また土壌や家畜飼料など危険性の高い資材に規制をかけることで、ヒアリが州境を越えるまでの時間を稼ぐことはできるものの、解決策にはならないと指摘しています。

Fire ants will swarm anything that disturbs their nest.
「連邦政府、州政府、テリトリー政府には、ぐずぐずしてないで、撲滅プログラムの強化に取りかかることが急務です」。
「これ以上の遅れ、資金不足、不作為の言い訳は許されません」
オーストラリアのヒアリ駆除プログラムのレビューによると、この害虫を駆除するためには、今後5年間で少なくとも30億ドルが必要だと言います。
モリアーティ氏によると、ニューサウスウェールズ州は今後4年間で9500万ドルを拠出していると言います。
しかし外来種対策協議会によると、今年度の資金6,000万ドルは昨年度より3,400万ドル少ない額であると指摘しています。
ヒアリはアメリカ大陸原産で、体長は2〜6mm程度ですが、巣を邪魔するものには大群で襲いかかるため、人間や動物に致命的なダメージを与える可能性があります。
オーストラリアではヒアリによる死亡例はありませんが、外来種対策協議会によれば、アメリカではアナフィラキシーショックによる死亡例が85件も報告されています。
CSIROの主任研究員であるベン・ホフマン博士は先週、SBSニュースに対し、ヒアリが具体的にどのような経路でオーストラリアに侵入したかを確認するのは難しいとしましたが、ヒアリは「ヒッチハイクが得意」であり、ヨットに乗って長距離を移動したり、飛行機で運ばれた貨物の中から発見されていると説明しています。
火木土の夜10時はおやすみ前にSBSの日本語オーディオ!
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