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ビジネスはワクチン非接種者へのサービズを拒否できるのか?

オーストラリア政府は来月から実施されるワクチン接種について、義務化はしないと述べていますが、企業が非接種者に対してサービスを拒否することは止めることはできないようです。

Bar staff in Prahran, Melbourne, in October 2020.

Bar staff in Prahran, Melbourne, in October 2020. Source: Getty Images

オーストラリアでは2月中旬からワクチンの接種が開始しますが、連邦政府はワクチンは義務化しないと述べています。

しかし、州政府や民間企業は異なる考えを示すかもしれません。

1月18日には、し、企業も同様のことを行うことができると述べました。

「より多くの人々がワクチンを接種することで、通常の生活に戻れる可能性が高くなります」

しかし、政府や企業はワクチン接種をどこまで強要することができるのでしょうか?
82-year-old Brian Pinker receives the Oxford University/AstraZeneca COVID-19 vaccine in Britain.
82-year-old Brian Pinker receives the Oxford University/AstraZeneca COVID-19 vaccine in Britain. Source: AAP

政府は今後ワクチンを義務化することは可能?

答えはイエスです。法的には連邦政府がワクチンを義務化することを遮るものは何もありません。

オーストラリアは過去にもワクチンを義務化したことがあります。

それは19世紀頃に実施された天然痘のワクチンで、1979年に世界で初めて撲滅された感染症でもあります。
シドニー大学保健法・倫理学キャメロン・スチュワート教授によると、天然痘ワクチンの効果が知られるようになってからは、接種を強制する必要性はなくなったと言います。

「ほとんどの人がワクチンは安全で効果的であると認識していたので、接種率も高く、義務化する必要もありませんでした」と述べました。

「しかし、20世紀末にはには、ワクチン接種率の崩壊や急速な低下が見られるようになり、再び議論の対象となりました」

一方でオーストラリア政府は昨年8月、COVID-19ワクチンを義務化することを否定しており、スコット・モリソン首相は「誰かを押さえつけて(ワクチンを)受けさせることはできない」と述べています。

ワクチンが義務化されない場合、十分な人が予防接種を受けるか?

連邦政府がワクチンを義務化しない一方で、州政府や民間企業は、予防接種を受けないと実用的でないとする規制を設けることができます。

一部の職業では、すでにワクチンの接種が義務付けられています。例えば、医療従事者の中には毎年インフルエンザの予防接種を、屠殺場で働く人たちは、重度のインフルエンザのような症状を引き起こす可能性のある細菌感染症、Q熱の予防接種を受けなければなりません。
昨年末には、カンタス航空のCEOであるアラン・ジョイス氏が、カンタスの国際線の利用者は、今後COVID-19の予防接種を受けていることを証明する必要があるだろうと述べています。

スチュワート教授は、これらのような規制は、ワクチンを義務化しなくても高い接種率を確保するのに十分であるだろうと述べています。
A vial of the COVID-19 vaccine developed by Oxford University and UK-based drugmaker AstraZeneca.
A vial of the COVID-19 vaccine developed by Oxford University and UK-based drugmaker AstraZeneca. Source: Press Association

「民間事業者が入場条件をつけるのであれば、州政府はワクチンの強制を行使しないかもしれません」

「ただし政府は、人々が接種の免除を受けられるように、別の意味で規制する必要があるかもしれません」

企業はワクチンの非接種者へのサービズを拒否することはできるか?

ほとんどの場合はイエスです。

憲法学を専門とするモナッシュ大学のルーク・ベック准教授によると、9割の場合、民間企業が非接種者へのサービスを合法的に拒否することができると言います。

「それは、RSLクラブが『襟付きシャツを着ていないと入店できません』や『ビーチサンダルでは入店できません』と言うようなもので、民間企業の入店条件に過ぎませんし、ほとんどの場合、民間企業はそれを行うことができます」

「難しいのは、予防接種を受けることができない病状や持病を持つたちの対応です。ほとんどのテリトリーでは、特定の健康状態を理由に、民間企業が人々に対して差別をできないよう、差別禁止法が敷かれています」
AstraZenecas headquarters in Sydney.
AstraZenecas headquarters in Sydney. Source: AAP
しかし、特定の健康状態の人々が各地で実施されているマスク義務から免除されているように、企業は安全にワクチンを接種することができない人々のために同様の対策を取り入れ、この課題を乗り越えることができます。

ベック准教授は、これらサービスや入店などの制限を導入する前に、人々がワクチンを接種するために十分な時間を与えることが、もうひとつの課題であると述べています。


「国民の大半がワクチンを受けられるようになるには、数ヵ月はかかるでしょう。そのため現実的に考えでも、企業が入店の条件などを取り入れるには、しばらくかかりそうです」と述べています。

オーストラリアでは、他人から1.5メートル以上離れていなければなりません。お住まいの州における集まりの人数制限をご確認ください。風邪やインフルエンザの症状が出ている場合は、家に留まり、医師に電話して検査を手配するか、1800 020 080のコロナウイルス健康情報ホットラインに連絡しましょう。 

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Published 20 January 2021 2:32pm
Updated 20 January 2021 4:31pm
By Claudia Farhart
Presented by Yumi Oba


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