脳の健康とより良い意思決定:外国語学習3つの利点

外国語の学習は、脳の忍耐力や意思決定の力を高める働きもあり、アルツハイマー病の予防にもなるようです。 言語教育研究者のアントネラ・ベコーニ氏が語ります。

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Young man learning different languages Source: iStockphoto

外国語学習のメリットは良く聞かれますが、具体的にはどんなものなのでしょうか、またメンタル面の向上に役立つという証明はあるのでしょうか?

生涯研究センター・イタリア語学習を主催し、シドニー大学の博士候補生でもあるアントネラ・べコーニ氏にSBSイタリア語放送がインタビューしました。第二外国語の学習が脳の健康および人格に与えるメリットを語ってもらいました。

外国語学習はアルツハイマー病の予防に有効か?

「脳機能後退の病気を患っている場合、外国語を学習するとより健康で強靭になれる。」と各種の研究結果を踏まえてべコーニ氏は語ります。「新たな語彙や、慣れない文法構成、そして新しい文字など、難しい外国語を学習することにより将来的にアルツハイマー病や認知症など脳機能の後退の病気におかされにくくなる脳になる。」とべコーニ氏は述べます。

それを裏づけするのが次の様な研究です。
ビアリストク氏らによる2010年の神経心理学領域の研究によれば、「早期の二ヶ国語習得がアルツハイマー病を患っている老人の記憶力の衰えを、4.1年遅らせているという統計結果が出ている。」とべコーニ氏は語ります。

また、2017年のサン・ラファエル大学の研究では、「生涯二ヶ国語を使って生活する人たちには認知症でも強力なCRプロキシーが見られ、神経変性を押さえる神経保護効果を発揮している。」と述べています。

忍耐力の向上

べコーニ氏によれば、新たな言語を学ぶ利点のもう1つは、他人の考え方をより良く理解する能力がつくということです。「個人としていわゆる他人の思考を理解するということは稀なことだ。」と述べます。人間は事実とは関係なく自分が理解する様に物事を考えるので、外国語を習得することによって思考の違いに気づくことになります。言語によって語順が違ったり、文の構成が反対だったり、言語学習を通して他の思考も身につきます。外国語を習得することは、文化への理解や自分と異なった人達への理解を促し、自分の境界線を広げより忍耐力がつくことになります。

より良い意思決定が出来る様になる。

外国語を学ぶことは、青少年達にとって自信をつけることになり、それにより、より効果的で自信をもって決断することが出来る様になるとべコーニ氏は述べます。「特に青少年には、外国語学習はより自信を持って意思決定出来る様になり、同様により視野が広がり、忍耐力が強まる。」と語ります。

シカゴ大学の研究では、外国語で思考して問題解決をする場合、より合理的な決定をする傾向があることがわかりました。
外国語学習によって人々の選択の余地が広がるのです。

では、どんな外国語を学習すべきなのでしょうか。
べコーニ氏によれば、「大切なのは難しくても達成感があり、学習を楽しめることが大切だ。そうでなければ、外国語学習がより難しくなるだけだ。」ということです。

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締切は9月27日まで。奮ってご応募下さい。

SBSイタリア放送抜粋    
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Published 26 September 2019 9:57pm
Updated 12 August 2022 3:22pm
By Marco Lucchi, Chiara Pazzano
Presented by Mayumi Nobetsu
Source: SBS Radio Italian


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