グレッグ・ハント保健相は2日、オーストラリアに入国する旅行者の禁止、並びに免除なしに市民の出国を禁止する「ヒューマン・バイオセキュリティ緊急期間」を延長することを発表しました。
この緊急期間は、導入から1年を迎える3月17日に解除されることが予定されていましたが、この度6月17日までに延長。これによりオーストラリアは少なくとも15ヵ月間、国境が閉鎖されることとなります。
「緊急期間の延長は、オーストラリア国家健康保護委員会(AHPPC)とチーフ・メディカル・オフィサーによる専門的な医学的・疫学的助言に基づくものです」とハント氏は声明で述べています。
「AHPPCはオーストラリア政府に対し、海外でのCOVID-19の状況が、より高い感染力を持つ変異種の出現を含め、オーストラリアに許容できない公衆衛生上のリスクをもたらし続けていることを助言しました」
ハント氏は、緊急期間の延長は「すべての人の健康と安全のためにリスクを軽減するため」であると述べています。
現在、オーストラリア国民、永住者、海外在住の直系家族は、自費で14日間のホテル検疫を受けた後、再入国することができます。
オーストラリアとスウェーデンの二重国籍者であるエリザベート・ハンマールランド・ローレンツソンさん(65歳)は、過去5年間スウェーデンで高齢の母親の世話をしてきました。現在シドニーで隔離4日間を迎えています。
パンデミック以前、ハンマールランド・ローレンツソンさんとオーストラリアに住む夫は通常年に4回ほど、お互いを訪問してきました。
「夫に最後あったのは、もう1年前のことにりますが、とても辛いです。特に彼は、オーストラリアに家族がいなく、1人で閉じこもっていて、大変だと思います」

Dual Australian-Swedish citizen Elizabeth Hammarlund-Lorenzsonn has been separated from her husband for almost a year. Source: Supplied
「6月17日以降、彼が出国できるか、様子を見ているところです」
しかし、昨年3月に渡航禁止令が導入されて以来、ハンマールランド・ローレンツソンさんのようにオーストラリアに入国できるのは、幸運の持ち主の1人と言っても過言ではありません。検疫ホテルにの数に厳格な制限が設けられているほか、ため、です。
海外で立ち往生している人々は、フライトの欠航は「日常茶飯事」であり、COVID-19のクライシスから1年以上が経過しているにもかかわらず、ことに不満を感じていると、SBSニュースに語っています。
「最もの不満はオーストラリアの政府に対してです」とポーランドから語るのはライアン・シムズさん(26歳)。
「パンデミックが発生してから1年が経ちましたが、オーストラリア人が帰国できるフライトがないと言うんです」
スコット・モリソン首相は先月、パンデミックが始まって以来、21万1,000人以上の人々がホテルの検疫システムを通じて海外からオーストラリアに戻ってきていると言います。
今回延長された緊急期間により、オーストラリアへのクルーズ船の入国制限も延長されました。
「オーストラリア政府は引き続き各テリトリーの機関や国の保健委員会、クルーズ業界と緊密に連携し、公衆衛生上のリスクに比例した方法でクルーズ船の段階的な再開のための枠組みを開発していく 」とハント保健相は述べています。
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