気候審議会が発表した新しい報告書によると、気候変動に関連した異常気象は、今後数十年の間に、オーストラリアでより多く発生する可能性が明らかになりました。
27日水曜日発表された報告書によると、オーストラリアにおける異常気象の損失は、1970年代からすでに約2倍に増加しており、過去10年間で合計350億ドルに達しています。
気候審議会によると、気候変動に関連した火災、洪水、干ばつ、暴風雨、海面上昇の影響は将来的に急増する可能性があり、オーストラリアの経済的損失は、2038年までに毎年1,000億ドルに上る可能性があります。
報告書の主執筆者であるウィル・ステッフェン教授はSBSニュースに対し、昨年夏の「ブラックサマー・ブッシュファイヤー」は、気候が「転換点」に達したときに何が起こるかを示すものであったと述べ、今後同様の天災が頻度を増して起こる可能性が高いことを明かしました。
「異常気象が今後、スムーズかつ直線的に増加することは期待できず、いつ、非常に速い速度で急増するかもわかりません。それが気候変動が続く中で我々が取っているリスクです」
ステッフェン教授によると、オーストラリア人はヨーロッパの人々と比較すると、気候災害によって移住を余儀なくされる可能性が5倍高いという研究結果があることを明かしました。
「一方で、太平洋諸島の隣国は、ヨーロッパ人の100倍以上もの移住リスクに直面していることに留意する必要があります。彼らにとっても私たちにとっても、そのリスクは高まるばかりです」
国連事務総長の元特別代表(災害リスク削減担当)であるロバート・グラッサー博士は、オーストラリアは「気候変動が自国と地域の両方に与える影響を懸念すべきだ」と強調しました。
「また我々は、世界で最も人口の多い地域のひとつの目の前にいるため、影響を受けやすい状況にあります。我々から北部に位置する東南アジアだけでも、4億人を超える人口が暮らしており、人口密度が高い上に低平地の国々では、気候変動、海面上昇、高潮などの影響を非常に受けやすいのです」とグラッサー博士はSBSニュースに語りました。

Thirty-four people died and more than five million hectares were burnt over six months during Black Summer. Source: AAP
「これら国々の問題は連鎖し、地域、そして我々の安全保障にも影響を与えるでしょう」
連邦政府に行動を促す
グラッサー博士は、オーストラリア政府は温室効果ガスの排出量削減に向けてより強力な行動を取る必要があるとし、他国にもさらなる努力を求めるべきだと述べました。
また、オーストラリアは大規模な気候災害への対応能力を飛躍的に向上させる必要があるとも述べました。
「オーストラリアは回復力に非常に優れていますが、私たちが今必要としているのは、これをさらにスケールアップし、別のレベルに引き上げることです。なぜなら、現在も将来も、記録的な規模の火災や暴風雨、洪水などの災害が私たちを襲うことになるからです。私たちは適応から変革へと移行する必要があります」と彼は述べました。
ステッフェン教授は、オーストラリアは2030年までに排出量を半減させ、2040年までに排出量をゼロにしなければならないと述べています。
「そのために必要なことは、科学的にも明らかであり、多くの技術がこの目標を実現可能にしています。私たちを止めているのは、イデオロギー、政治、既得権益です」
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