Key Points
- リネット・ドーソンさんの遺族は、クリス・ドーソンに遺体の場所を明らかにするよう懇願
- ニューサウスウェールズ州最高裁のイアン・ハリソン判事は、火曜日、ドーソンに妻殺害の有罪判決を下しました
リネット・ドーソンさんの遺族は、クリス・ドーソンに対し、殺害から40年経った今、2児の母の遺体の場所を明らかにするよう懇願しています。
ニューサウスウェールズ州最高裁判所のイアン・ハリソン判事は、30日火曜日、ドーソンに妻殺害の有罪判決を下しました。
法廷の外でリネットさんの遺族は、判決はこれまでの長い旅における「マイルストーン」とする一方で、リネットさんの遺体がまだ見つかっていないことを訴えました。
「私たちは、リンを安らかに眠らせることができるように、ドーソンに対して遺体の隠し場所を明かすという当然のことをお願いしたい」と、兄のグレッグ・シムズさんは述べました。
またシムズ氏は、娘の行方を知らずに2001年に亡くなった母親のヘレナ・シムズさんにも敬意を表しました。
「私たちは、リンを愛しながらも判決を見届けることができなかった人たちのことを思い出したいと思っています」
また遺族は、ドーソンさんの失踪を調査し、事件に再度注目を集めるきっかけとなったポッドキャスト『ティーチャーズ・ペット』の製作者であるジャーナリストのヘドレー・トマス氏にも感謝を述べました。
このポッドキャストは火曜日の判決で大きく取り上げられましたが、裁判官は最終的にポッドキャストに関わった多くの目撃者の証拠を却下しました。
トーマス氏は記者団に対し、今回の判決は、「無力と感じている人に、ジャーナリズムが声を与えることができる」ことを教えてくれたと語りました。

Lynette Dawson's family thanked journalist Hedley Thomas (pictured), creator of the award-winning Teacher's Pet podcast investigating Mrs Dawson's disappearance. Source: AAP / Dean Lewins
5時間におよんだ裁判
ドーソンは1982年1月、10代の恋人を失いたくないという強い思いから、妻のリネットさんを殺害したと、イアン・ハリソン判事は断定。
約5時間におよんだ裁判は満員の中行われ、ニューサウスウェールズ州最高裁判事がドーソンに殺人の有罪判決を言い渡し、40年来の謎に決着をつけると、聴衆から歓喜の拍手と歓声が沸き起こりました。
「疑う余地もありません。リネット・ドーソンは1982年1月8日、クリストファー・ドーソンによる意図的あるいは自発的な行為の結果、死亡したと合理的に推論することができる」と判事は述べました。
元体育教師であったドーソンは、「JC」として知られる10代のベビーシッターと自由な関係を持てないことに「とても悩み、苛立ち、最終的には圧倒されて」、妻を殺し、その数日後には若い恋人を自宅に住ませました。

Chris Dawson arrives at the Supreme Court of New South Wales on 30 August, 2022. He was found guilty of murdering his wife, Lynette. Source: AAP / Dean Lewins
リネットさんは娘たちに強い愛情を持ち、夫の関係が崩れる中も、賢明に彼にコミットしてきたと話します。
遺体も凶器も見つかっていませんが、ハリソン判事は、殺害前にドーソンがJCへの執着を強めていたこと、そして彼女がリネットさんの殺害直後にドーソンと同棲をはじめたことを考えると、「殺人以外の失踪の合理的仮説は存在しない」と判断しました。
JCと、ニュータウン・ジェッツの元ラグビーリーグ選手でもあったドーソンは1984年に結婚し、1990年に別居しています。
また判事は、ベビーシッターであったJCの証言は真実で信頼できると述べ、2人の間の険悪な親権争いが彼女の証言に影響を与えているという主張を退けました。

A large media contingent waited outside the NSW Supreme Court for as the judge delivered his verdict. Source: AAP / Dean Lewins
妻を殺害する前のドーソンは善良な人格者であり、妻に対して肉体的または言葉による暴力を振るったという証拠はなく、友人や隣人が目撃したとされる「暴力」も、事件をめぐる世評に影響されたと、否定されました。
これには、トーマス氏がポッドキャスト「ティーチャーズ・ペット」で、事件の重要な目撃者となる人物に話しかけ、彼らの記憶を「汚染」したことも含まれています。
また判事は、当初の警察の調査を、「意欲が見られず」、「間違いなく完璧ではない」とした一方で、調査に遅れが出たものの、ドーソンが何も指摘しなかったことを付け加えました。
ドーソンは木曜日に保釈を申請し、判決公判を待つ予定です。彼がこの評決を不服とするかは不明です。
火木土の夜10時はおやすみ前にSBSの日本語ラジオ!
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