生息地の破壊や気候変動など、あらゆる危機に直面しているオーストラリアの固有種を保護するため1800万ドルが投じられた保護計画の一環として、コアラの国勢調査が実施されることがわかりました。
ニューサウス・ウェールズ州では、緊急の対策が取られない限り、2050年までにコアラは絶滅する可能性があると言われており、また昨年の大規模な山火事により主要な生息地も失われています。
スーザン・レイ環境相は、全国的な監査を行うことにより、資金や支援をどこに割り当てるべきかを決断する上で役立つだろうと述べています。
「コアラに注目が寄せられている割には、実際の個体数はどこにあるのか、どのような状況にあるのか、そして壊滅的な山火事から回復させるための最善の方法はなにか、といった深刻なデータが不足していると、科学者たちは言っています」
全国監査の費用は 200 万ドルで、残りの費用は健康調査や医療支援、生息地の修復などに充てられるとされ、レイ氏は、この計画がコアラの繁栄に十分なものであると期待を寄せています。
オーストラリアの環境相会議では、今後、コアラの個体数や保護戦略の年次報告などが義務化される予定です。
監査には、スキャットモニタリング、ドローンや音響監視、探知犬、市民科学調査など、さまざまな方法が用いられる予定で、絶滅危惧種委員会のサリー・ボックス氏は、この支援パッケージは山火事後のコアラの支援にも役立つと述べています。

Environment Minister Sussan Ley Source: AAP
「コアラがどこで生き残っているのか、残っている生息地をどのように利用しているのか、また火事の影響を受けた環境にどのように対応しているのかを理解することで、現場での取り組みを調整し、最も必要とされる場所に集中して行動することができます」と ボックス博士は述べています。
「パッケージはコアラをよりよく理解するための努力を後押しし、この素晴らしい種を将来に渡って保護するためにサポートしてくれるでしょう」
労働党と緑の党は反撃
しかし緑の党、環境保護団体のスポークスマンであるサラ・ハンソン=ヤング氏は、コアラの監査だけでは種を救うには十分ではないと述べています。
「コアラの国勢調査だけでは国宝をモリソン政権から救うことはできません」
「コアラの個体数は重要な生息地で数えられてきましたが、政府はそのデータを無視し、その土地に生息するコアラを危険にさらすマイニングや開発プロジェクトを承認してきました」
生息地の伐採を止めない限り、コアラはすぐに絶滅してしまうだろうと述べており、緑の党は国会でこの状況の停止を求めるだろうとしています。
1月に山火事被害の生態学的監査を求めたという、労働党の環境報道官テリー・バトラー氏は、政府の発表は「十分ではない」と述べています。
「30億匹に登る動物が山火事で犠牲になったり、すみかを失い、最大で19000万ヘクタールが焼失しました。調査の結果、ニューサウスウェールズ州では2050年までにコアラが絶滅の危機に瀕していることが判明しています」
「しかし、環境相は9月になってようやくコアラを絶滅危惧種のリストに加え、監査を11月になって発表したのです」
Additional reporting by Evan Young.